対談

子育ては国の根幹。だから、保育士さんはかっこいい!──古坂大魔王さん

子育ては国の根幹。だから、保育士さんはかっこいい!──古坂大魔王さん

2021.7.15

動画は芸を見せる場所

編集長: お笑い芸人になろうと思ったきっかけを教えてください。

古坂: 小さい頃から「最強」の人間が好きだったんです。当時の最強といえばアントニオ猪木さん。僕は体が大きくて柔道をしていたのもあってプロレスラーになりたかったんですが、テレビで見たビートたけしさんやとんねるずさんがめちゃくちゃ面白くてかっこよくて、お笑い最強! って。僕は青森出身なんですが、青森出身のプロレスラーはいたけれどお笑い芸人はいなかったんです。誰もやってない、一番だ、という気持ちもあって、お笑いの道に進みました。

編集長: 古坂さんがプロデュースしたピコ太郎さんの動画がバズったのは記憶に新しいですが、なぜ動画配信をしようと思ったのですか?

古坂: 動画配信は、1分の動画をDL するのに1日かかっていたような頃からやっていたんです。というのも、売れている芸人はテレビでコントができてそれが直接宣伝になるんですが、売れていない芸人はライブで頑張るか自ら営業に行くかしかなかったからです。そこにインターネットという世界ができてきて、「売れていないから何かできないかな」と試行錯誤してHP 作ったり動画アップしたりしていたんですね。

編集長: YouTube が流行る前からされていたんですね。

古坂: そうです。僕もピコ太郎もYouTuber ではないんですよ。YouTube のチャンネルは、自分の番組を持った上で芸を見せる場所という感覚です。アリアナ・グランデと一緒なんですね。彼女はミュージックビデオをアップするだけで、「お菓子を食べてみた、yeah!」とかはやらないでしょ。

編集長: なるほど! では、YouTube に進出したのは……?

古坂: データ代わりにYouTube に置くというのは一般的だったので、とりあえず出しておこうかな、という感じでした。僕の2回目の単独ライブにピコ太郎がゲストで来たんですけど、ピコ太郎の動画ならプロモーションビデオだろうと。インターネットでバズったものが半年後にテレビに出るという流れがあったので、それを見越してアップしたり、最初に再生回数が10万くらい行かないと先がないので、知り合いに一斉に通知したり、その辺りは計画的にやりましたね。

動画、やりたいことは本当にそれですか

編集長: 動画を作る時に気を付けていることはありますか?

古坂: :何よりも僕が大事にしているのは、世界中見渡してほかにないということです。何にも似ていないオンリーワンを探して作っています。YouTube は逆で、関連動画で見てもらえるというのがありますから、今流行ってるものをやらなきゃダメなんですけどね。
技術的には、いつどこで何を見るかというのを考えたほうがいいんじゃないかなと思います。インターネット動画って、家でどっしり構えて大きいビジョンで見ようという人は一握りで、ほとんどの人が隙間時間にスマホでパッと見ていると思うんですよ。ということは、短い動画であること。画面が小さいから、きれいで緻密な風景や動きのある全身の引いた絵よりも、シンプルな背景にアップの方がパワーがある。そして、スマホでは音もあまり大きくならないので、あらかじめ大きい音で入れる。大きくはこの3つですね。
ただ、YouTuber でもそうでなくても、稼ぎたくてやっている人は相当努力しないと持たないと思うんです。でも、好きでやっている人は再生回数が少なくても止めないですよね。本当に好きでやっているのか、ということが一番大事かもしれませんね。

編集長: なるほど。最近は園で動画作成に挑戦したり、保育系のYouTuber も出てきているのですごく参考になりますね。

1人目が生まれた時の育児は2%!?

編集長: お子さんが生まれて夫婦の間で変わったことはありますか?

古坂: 全てが変わりましたね。結婚するということは、子どもを持つということを見据えていたわけではありますが、それでも実際に子どもが生まれてみると、すべてが自分の思い通りに行かなくて、目の前に次々来るハードルをなんとか越えているという感じです。話をするのでも育児がメインになって、手をつなごう、映画を見に行こう、ということではなくなってくる。明らかに関係性は変わっているし、変わらなきゃいけないと思います。でも、変わったことに憂いてはいないですね。

編集長: 上のお子さんと下のお子さんが生まれた時で違いはありましたか?

古坂: 上の子が生まれた時、ちょうどピコ太郎と一緒に世界を飛び回っている時で、ほぼ週末日本にいなかったんですね。家にいられる時は、できるかぎりおむつ替えや寝かしつけなどをして、けっこうやってるつもりだったんですが、改めてチェックしてみたら全体の2%程度でした。うちは、妻のお母さんがもう亡くなっていて、僕の母も高齢で青森にいるしで、親親戚の助けはほぼゼロでした。それなのに仕事を休むことが不可能に近かった。育児と当時の仕事を天秤に掛けられなくて、でもママは頑張れって言ってくれたから、甘えてしまったんです。

編集長: 古坂さんは子育てに積極的な印象があったので意外です。

古坂: 僕みたいに大手を振って育児を語っている人って、だいたいは1人目の時は何もやらずに失敗してるんですよ(笑)。2人目の時はそこが引っかかっていて、さらに、出産予定日が自宅兼スタジオを作って引っ越す時期や上の子のイヤイヤ期と重なったのもあって、育休を取ることにしたんです。

編集長: 話題になった育休取得にはそういう経緯があったのですね。育休はいかがでしたか?

古坂: もう、バタバタでした。色いろな人の協力を得て育休を取る計画をしていたんですが、育休に入る前の一番仕事が詰まっている時に生まれちゃったんですよね。もう、本当に嵐のようでした。育休取らなかったら逆にどうだったんだろう。家族は終わっていたかなっていうぐらい(笑)。

編集長: ハードだったんですね。最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

古坂: 保育が、子ども好きな人が好きでやっているお仕事だと思われたり、ボランティア的な聖職になっているところが可哀想だと思っているんです。保育は我々人間にとって絶対的に必要な仕事で、国の根幹となるものだと思ってるんですね。保育士さん達は熱意を持ってやってくれているのだから、もっと稼げるようになってほしいなと思っています。僕はものすごい尊敬の念を持っていますし、自衛隊とか校長先生とか、それぐらい尊敬されてもいいんじゃないかな。制度とか、金銭面とか、人間関係とか、マイナス部分が是正されて、保育士さん達がのびのびと仕事をして、スキルアップして、成功できるような世の中になればいいなと思っています。

古坂大魔王(こさかだいまおう)

古坂大魔王

経歴

1973年、青森県生まれ。1992年「底ぬけAIR-LINE」でデビュー。ピコ太郎プロデューサー。文部科学省・CCC大使、総務省・異能vation推進大使、国連環境計画UNEPサスティナビリティアクション・アドバイザー。
現在は、バラエティ・情報番組への出演をはじめ、世界のトップランナーと音楽、エンターテインメント等についてトークセッションを行うなど、幅広い分野で活躍中。

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