対談

保育って生きているんですよ。日々違って毎日が挑戦で毎日が楽しい!! ──てぃ先生

保育って生きているんですよ。日々違って毎日が挑戦で毎日が楽しい!! ──てぃ先生

2017.07.18

保育って楽しいんだってことを伝えたい

編集長: ほほえましい園児のツイートで人気のてぃ先生ですが、どうして保育士になろうと思ったのですか?

てぃ先生: 父がサラリーマンなんですが、毎日大変そうで良い印象がなかったんです。なので、それよりは手に職をつけたり、好きなことや得意なことを仕事にできたらいいなと高校生の時に考え始め、子どものことが昔から好きだったので子ども関係の職に就きたいと思いました。
保育士に決めたのは、子どもと関われる時間の違いからです。当時は今よりもっと保育園と幼稚園の区分がはっきりしていて、保育園は朝から夜まで子どもを預かり、幼稚園は2時くらいまで。そうすると、幼稚園では子どもが帰った後大人だけの時間になるじゃないですか。僕は子どもと遊びたいのになんで大人と仕事しなきゃいけないんだと思って、たくさん子どもと関われそうな保育園を選択しました。入ってすぐに、遊ぶことなんて保育士の職務の中では2~3割なんだなと痛感しましたが(笑)。

編集長: ツイッターを始めたのはなぜですか?

てぃ先生: 子ども、育児、保育などのニュースってほとんどがネガティブな話題なんですよね。そういう陰の情報はすぐ広まるけれど、陽の部分はなかなか広まらない。僕は保育園で働くことがすごく楽しいんですよ。もちろん大変なこともありますし、もっと若い時は辞めたいと思ったこともあります。でも、子ども達がかわいいですし、大きなやりがいもありますから、やっぱり保育って楽しいんです。だから、そういう陽の部分を収集して発信できるような人間やコンテンツがあるといいんじゃないかなと思って始めました。自分の周りに届けばいいな、くらいに思っていたんですが、こんなに反響が生まれてとても驚いていますし、嬉しくもあります。

編集長: 『MiRAKUU』のコンセプトと通じるものがありますね。今まで保育士をやっていて一番印象に残っているエピソードはありますか?

てぃ先生: :保育って生きているんですよ。日々違って毎日が挑戦で毎日が楽しいので「絶対コレ」っていうのはないです。ただ、色々思い悩んでいた新卒の頃、ある日突然子ども達が──実際は積み重ねなので「ある日突然」ではないんですが──こっちを向いてくれて、自分が言わなくても子ども達が勝手に付いてきてくれるという実感を得たときはすごく「保育士って楽しい!やりがいがあるな!」と思いましたね。

保育園にもママとパパがいるのが当たり前

編集長: 近年男性保育士が増えていますが、どう考えていますか?

てぃ先生: 男性保育士のメリットは、女性だけの職場でありがちな軋轢なども、そこにパパ役の男性が入ることによって、繋ぎ役になったり俯瞰的に物事を見ることができたり、冷静な立ち回りもできるという部分かなと思います。
不思議なのは保育士には「男性」が付くってこと。「男性看護師」って聞きませんよね。子育ては基本的にママがいてパパがいて子どもがいて行われるものなので、お子さんを育てる保育園という場所にもママ(女性保育士)がいてパパ(男性保育士)がいて子どもがいるというのが当たり前だと思うんです。そういう環境に今後はなっていくのではないかなと思っています。

対談風景

編集長: 男性保育士が女児のオムツや着替えをすることについて話題になっていますが、どう思われますか?

てぃ先生: よく聞かれるんですけど、はっきり言ってどうでもいいことだなと思っています。保育士の職務の中で、オムツ替えや着替えというのはたった1割くらい仕事内容なので、そんなことを騒ぎ立ててないで、もっと自分にできることを丁寧に向上心を持ってやろうよ、と。もし女児のオムツ替えをしないのであれば、その分他のフォローに回るとか、いくらでも対応策はありますよね。保育園はママパパが安心して預けられる場所でなければいけない。オムツ替えや着替えなどで不安を与えてしまうくらいだったら「じゃあ、女性の保育士が対応しますね」と快く希望を受け入れた方がよっぽど良いと思いませんか?

質の良い保育園・保育園を目指したい

編集長: 将来保育園を作りたいそうですが、どんな園にしたいですか?

てぃ先生: まだ具体的ではないのですが、職員の話でいえば、男女フィフティーフィフティーで、そしてスペシャリストを集めたいですね。
今は園が子どもを預かって感謝される側なんですが、先々子どもが減って保護者が保育園を選ぶ時代が訪れるはず。その時に生き残れるのはやはり質が高い保育園・保育士だと思うんですね。

編集長: 保育士の質が重要だということですね。

てぃ先生: そうです。保育士の質が良くないと子どもはよく育ちません。その子たちが大人になった時にくだらない大人になっちゃって、そういう大人が増えると日本がくだらなくなっちゃう。ただ子どもを預かるだけではなくて、本来保育士がやるべきこと、保育が担っている役割ってもっと大きいものだと思うんです。その辺をもっと意識してやっていったらこの業界ももっとよくなると思うし、保育士にしかできない技術を確立していけば自然に給料も上がると思うんですよ。最も大切なことは一人ひとりの意識なんじゃないかなと思います。

編集長: 保育士の不祥事等がニュースになりますが、保育士の資格を取る制度上で工夫したらいいことはありますか?

てぃ先生: いま子どもは減っていっているので、単純に学校を卒業して取れるという制度そのものが厳しくなってくるんじゃないかと思っています。つまり、より保育士としての資質が問われていくわけです。性格診断テストを付け加えなくても、保育士に向いていない人は淘汰されていくのではないかな。いずれは幼稚園教諭のように1種2種に分けるとか、相応の努力をした人じゃないと資格取得できないようにするとかした方が、保育士の専門性を向上させるという意味で良いのではないかと思います。
今は保育士が足りていないのでしょうがないんですよね。ただ、採用時にフィルタをかけたり独自の階級制を 作ったり、園側で工夫できることは取り組みの一つとして早めにできることだと思います。

人生は1回。「楽しいな」を大事にしてほしい

編集長: 『MiRAKUU』ではイケメン俳優の保育士体験、「絵本男子」ではイケメンが絵本の読み聞かせをしているのですが、こういう取り組みについてどう思われますか?

てぃ先生: 面白いと思いますよ。今だからこそ、そういう活動って必要だと思います。野球だってスター選手がいるから野球選手になりたいっていう子が出てくるわけで、スター選手や人を惹きつけるようなことをやっている人がいるからこそ業界が盛り上がる。それは保育でも同じだと思うので、カリスマ的な保育士が出てきたり、保育士って楽しい、かっこいい職業なんだってうまく印象操作するのも重要だと思うんですよね。そういう意味ではすごく良い取り組みだと思います。

編集長: ありがとうございます! 最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

てぃ先生: 保育士は楽しいです! 興味があることって楽しいですよね。だから、子どもの成長や保育に興味を持った人は絶対に楽しめるはずです。周りの環境のせいでつまらなくなってしまうだけであって、本来それは絶対に楽しいものなんですよ。
大変なことや辛いことはあると思います。辛いって思った時に溜め込まないで、誰でも何でもいいから、愚痴をこぼしたり相談したりしてください。インターネットでもいいです。匿名で相談できますしね。
自分が正しいと思ったことや、これだけは守りたいというものがあるのならそれを大切にして、嫌だと思ったら嫌だとはっきり言うべきだと思います。それでも解決できなかったら転園という手もあります。年度途中に辞めると「子ども達のことが大事じゃないのか」と責められることもありますが、自分のことも大事でしょう。人生1回しかないんですよ!
やることやってどうしてもダメなら、無理しないでさっさと自分に合うところを探していくべきだと僕は思います。せっかく良い保育士になれる資質を持っている人が、園と反りが合わないという理由で保育そのものを辞めてしまうのは勿体ないですから。
子どもと向き合っていく中で「楽しいな」と思ったことを一番大事にしてください。自分が好きだと思って保育士になるのですから、そういう気持ちはずっと強く持ってやってほしいなと思います。

編集長: 今度てぃ先生の話がアニメ化しますね! すごくポジティブな番組になると思います。楽しみですね。今日はどうもありがとうございました。

てぃ先生

てぃ先生

経歴

関東の保育園に勤める男性保育士。保育園の日常をつぶやくツイッターには40万人を超えるフォロワーがいる。
著書に『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』『ハンバーガグー!』(ともにベストセラーズ)など。またツイートを原作とした漫画『てぃ先生』(KADOKAWA)も連載中。2017年にはアニメ化も発表された。
「保育・子育ては大変なことばかりではなく、楽しいこともいっぱいある」ということを伝えるために、現在も執筆中。

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