対談

自分は自分のままで子ども達との毎日を大事に過ごしていけたらいい──ケロポンズさん

自分は自分のままで子ども達との毎日を大事に過ごしていけたらいい──ケロポンズさん

2016.07.15

出会いは「トラや帽子店」

編集長: ケロポンズさんが子ども向けの曲や踊りを始めたきっかけを教えてください。

ケロ(増田): もともと私が「トラや帽子店」というバンドで親子コンサートをしていたんですけど、バンドが解散した後、パネルシアターの伴奏をしていたポンちゃんと「トラや帽子店」みたいなステージをやろうと意気投合したんです。

編集長: ケロさんが子ども向けの音楽を始めようと思ったきっかけは何ですか。

ケロ: 音大の幼児教育科を卒業して幼稚園の先生になりました。子どもと遊ぶのは楽しかったんですけど「教え導く」ことがあまりできなくて、自分は表現する方が合っているのかなと思っていたんです。その矢先に絵本作家の中川ひろたかさんと講習会で出会い、中川さんにお前面白いな、とバンドに誘われて。それなら子どもと音楽を両方できる、と幼稚園を卒園しました。

編集長: もともとは幼稚園の先生だったのですね。ポンさんとはいつごろ出会ったのですか。

ポン(平田): 20年前くらいに。私は当時広島にいて、大学4年の夏休みに「サマーカレッジ」という子どもの本や遊びのセミナーに友達と参加したら「トラや帽子店」が出ていたのです。
自分のなかで、親子コンサートは「子どもが喜んでいる姿を親が見て喜ぶ」という概念だったんですけど、「トラや帽子店」のコンサートは違って、親も子もそれぞれに楽しんでいるんです。それを見て、こんなに楽しい世界があるんだとびっくりしたんですよ。それで友達と「トラや帽子店」を広島に呼んでコンサートをしたんです。
コンサートが終わった後、私は教員採用試験に落ちていて(笑)。友達は臨時採用で先生になったんですけど、私はすぐに先生にならなくてもいいか!と思って、貯金通帳と、寝袋持って、東京に出て来ちゃいました。

ケロ: そうしたらポンちゃんが住んだところがたまたま近所だったので、よく遊ぶようになって。そのころパネルシアターの講習会も増えてきて、定期的に伴奏をやってくれる人が必要になり、伴奏してもらうようになったんです。

編集長: 不思議な出会いですね!

歌はシンプルに。楽しいと一緒に歌ってくれる

編集長: 年間にどのくらい作詞作曲するのですか?

ケロ: 数えたことないんですけど。でも、もう1,000曲は作ってるかな。

ポン: 年にもよるんです。最初のころは雑誌の連載もあって、1か月で20曲作っていたこともあったので。今はそこまでの量は書いていません。

編集長: 子ども向けに曲や歌詞を作るときのコツはあるのですか?

ポン: 二人とも昔は保育をしていたので、子ども達と一緒にやっていたことがカギになっていますね。

ケロ: まずは自分が楽しいと思うこと。自分が楽しめないと子ども達もワクワクできないんじゃないかな。あとは、わかりやすいと言うか、

ポン: シンプルがいちばん。パネルシアターも歌の中で何度も同じフレーズが出てくるんですけど、一回歌うと子ども達はすぐ覚えて歌ってくれます。

『エビカニクス』誕生秘話 ケロちゃんは総タイツが好き!?

対談風景

編集長: 今「エビカニクス」がヒットしていて、YouTubeの再生回数もすごいですね!

ケロ: 雑誌で遊びネタを連載していたころ、撮影の後で編集さんも一緒に飲んでいたんです。♪エビ!カニ!エビ!カニ! って面白いよね、エアロビクスにもじってエビカニクスとかどう? あはは、それ面白いって言って、自然発生的にできた曲。

編集長: 飲んでいてできたと。すごいですね。うちの保育園でもよく流れていて、子ども達が踊っています。

ポン: ありがとうございます。

ケロ: 全国のコンサートに行くと、みんなエビやカニのツメを付けて準備して待っていてくれるんですよ。

ポン: 最近は、装着している物がエスカレートしていて、ツメだけじゃなく衣装まで作ってくる方もいらっしゃいます。コンサートが始まって客席を見ると、真っ赤な列があるんですよ。お、ヤル気だな、みたいな(笑)。

ケロ: 装着して一緒にコンサートを盛り上げてくれてありがたいです。

編集長: 衣装も考えていらっしゃるのですか?

ケロ: 一応。全身総タイツが好きだったので(笑)、「エビとカニになろうよ」と言って最初は総タイツ。

ポン: CDのジャケット写真を見ればわかるんですけど、初めはまったくの総タイツだったんです。「エビカニクス」はNYで録音したんですけど、日本に帰ってきてその衣装で舞台に出たら……

ケロ: 照明の具合で下着の線が見えちゃって。「丸見えだよ!」とみんなに言われて、

ポン: それを隠すスカートとブラジャーを付けたんですよ、後から。

ケロ: それから衣装も激しくなり、だんだん不思議な衣装になって……。

ポン: もういっそのこと、顔も隠して着ぐるみになっちゃおうかって言っているんですよ(笑)。

ネタはアレンジして楽しんで欲しい

編集長: 保育士さん向けのセミナーをなさっていますが、どういったことを伝えたいのですか?

ケロ: セミナーは、先生達がすぐに現場で使える遊び歌や体操を求めているので、それを伝えていこうと始まったんです。先生達には、私達のネタはその通りにやらなくていいと言っています。楽しいということが子ども達に伝わればいいと思っているので。先生達には、アレンジして遊んだりヒントにしてもらえたら、というメッセージを送っているんですね。

ポン: セミナーは教えるという感じではなくて、コンサートの間にちょっと説明が入るようなかたちなんですよ。だから、先生達が面白いと思えば大笑いしながらやったりする。先生は自分で楽しんだうえで自分の園にいる子ども達を想像して、実際に遊んでもらえたら嬉しいです。

編集長: 先生達の悩み相談や質問はないのですか?

ケロ: 以前は質問コーナーもあったんですけど、私達にはそういうものを求めていないというか(笑)。ポンちゃんがお母さんなので子育ての時の話などはチョイチョイ入れ込みますけど、どちらかというとネタをいっぱいやります。

「自分は自分のままでいい」ことを認める

対談風景

編集長: これから保育士を目指している方に伝えたいことはありますか?

ケロ: とにかく子ども達と遊んだり、気持ちに寄り添ってほしいなと思いますね。そこからいろんなことが生まれる気がする。

ポン: そうですね。私はずっと“立派なちゃんとした先生”になりたい、でもそれってどういう人かな、と思っていたんです。それで、最初に勤めた保育園でどうすればいいか園長先生に聞いたんですけど「あなたのままでやってくれればいいから」と言われて、さっぱり意味がわかりませんでした。
5年働いてわかったのは、自分のままで子どもと付き合っていくしかない、付き合っていくのがいいんだということです。ある意味人間関係だと思うんですよ、子どもと先生でも、お母さんと先生でも。だから「自分のままでいい」ということをまず自分で認める。そうすると他の子どもも認められるし、癇癪を起こしている子がいても、その子にはその子の想いがあるということを受け入れられる。そうなると人間関係がうまく回っていく。

ケロ: だから、立派な先生に、保育士にならなくていいってことだと思う。最初気負っちゃって、どうしても「ちゃんとした先生になろう!」と思うけど。

ポン: 別の人にはなれないのだから、基本的に自分のままで子ども達との毎日を大事に過ごしていけたらいいですね。

ケロポンズの大好きな歌

編集長: 最後に、今まで作った中で一番好きな歌はどれですか?

ケロ: うわぁ~!

ポン: 難しい~!

ケロ: それはね……やっぱり「エビカニクス」は好きな歌ですね。いろいろ思い出深い曲。今「思い出深い」なんて言うと……

ポン: 終わっちゃったみたい(笑)。

ケロ: 好きな歌か……。「りんご」とか好きですね。曲が私でポンちゃんが詞の、ちょっと地味な歌だけど、ケロポンズらしい歌かも。

ポン: 私は「おにぎり」かな。まんまですけどね! ♪おにぎり食べよう~炊きたてのごはん~
私は食べ物の曲が多くて。ふりかけパラパラとか。食べることが好きなんです。でもおにぎりはすっごい……

ケロ: 好きなの?

ポン: よく「山下清なんですか」と言われるんですけど、本当に言われてもしょうがないくらいおにぎりが好きで。歌も「おにぎり」が好きですね。

ケロ: そういったことでいうと、私はエビカニアレルギーで、食べられないのに「エビカニクス」が好き。

ポン: 大好きで「おにぎり」。逆だね。

全員: (笑)。

編集長: 本日は楽しいお話をありがとうございました。

ケロポンズ

ケロポンズ

経歴

1999年結成、増田裕子と平田明子からなるミュージック・ユニット。あそびうたや体操の作詞、作曲、振付を手掛ける。
あそびうた、体操、歌とストーリーが一体となったミュージックパネル等で構成される親子コンサートや、保育士・幼稚園の先生を対象とした保育セミナーを全国で行う。育児雑誌や保育雑誌に子どもとのふれあい遊びや体操の紹介記事を執筆、楽曲・振付の提供、絵本の創作等も行う。
CD・DVD・書籍・雑誌等に収録される、作詞・作曲を手掛けた歌やあそびうた・考案したあそびは1,000作品を超える。代表作「エビカニクス」のYouTube動画再生回数は2015年9月に1,000万回を突破。