対談

保育士さんはスゴイ!『Thank you! Thank you! Thank you!』──ミュージシャン エリック・ジェイコブセンさん

保育士さんはスゴイ!『Thank you! Thank you! Thank you!』:エリック・ジェイコブセン

英語は目的ではなくただの道具。「2度目の英語」に出会う場を提供したい

編集長: はじめに、子どもに向けての英語の大切さについてお聞かせください。

エリック: 英語はあくまでも道具であって目的ではないから、楽しい家族向けコンサートをすることを第一に考えています。ずっと音楽をやっているので、英語はたまたまというか…、たまたまじゃないんだけど(笑)。
日本に来た17歳の頃は、まだ子どものような頭の柔らかさがあり、日本語を習いながら、子どもはこうやって話せるようになるんだ、と思ったことがいっぱいありましたね。
ホストブラザーの「おかわり」を聞いて「もう一杯欲しいときはおかわりと言えばいいんだな」と学んだり。「おかわり」を英語でなんというかではなくて、シチュエーションと言葉が合体して、「おかわり」と言えばこうなるんだなあと、実生活を通して自然に覚えました。
もちろん本からも覚えて、でも実際に使うチャンスがあると自分のものになりますよね。

編集長: 子ども向けの仕事をしようと思ったきっかけは、テレビですか?

エリック: テレビではないですね。小さい頃からギターが大好きだったんだけど、一番最初の子どもとの楽しい思い出は、感謝祭(Thanksgiving)。7歳と4歳の女の子がいる親戚のうちで、食事まで時間があったので即興でクランベリーの歌を作って3人でワイワイと歌って大騒ぎしました。
その時はそういうことが仕事になるとは思わなかったけれど、いま振り返ってみると、それがきっかけだったのかもね。

編集長: コンサートを通じて子ども達に伝えたいことは?

エリック: 「楽しかったね!それでもって英語だったね!」という感じで「さあ、英語ですよ.」という特別さをあんまり強調したくない。英語は道具だから、おもちゃのように使ってほしいな。僕のコンサートが英語を楽しく使う/英語で楽しく遊ぶきっかけになったら嬉しい。子ども達がもう知っている英語を新しく「こんな風に遊べるよ.(笑)」みたいに紹介するというか。「2度目の英語」に出会う機会を作るのが僕の仕事ですよね。

幼少からの英語学習は無理のない程度で英語の音やリズムに慣れるのが大事

編集長: 日本では英語は小さい頃からやったほうがいいといわれているのですが。

エリック: そう思いますね。英語がほとんどできない親が、無理のある英語環境を作る必要はないと思うけど、自然なペースで、英語を怖がらないで、無理のない感じだったら、小さい時から英語の音に耳を慣れさせるのはいいことじゃないですかね。
日本の子どもは変わってきてますね。昔はね、ある程度会話ができる子どもは、たいてい、親も本人もアメリカに住んでいたとかだったけど、10年ぐらい前からは親はできなくても、英語ができる子どもがすごく増えていますね。
僕のショーで「飛行機は英語でなんていうんだっけ?」と聞いたら、「Airplane, Airplane」と反応する子ども達がたくさんいるの。「へえ、知ってるんだ~!」とびっくりする大人もいるけど、今はそれが普通になってきているよね。
これって、今の日本の英語教育がいい方向にいっている証拠じゃないですかね。英語に対する違和感がなくなってきている。英語を知っているのは変じゃない、いい意味で特別じゃない、そういうメッセージももっと広げていきたいな。

編集長: 英語教育を取り入れる園が増えてきていますが、英語が苦手な先生方にむけてメッセ―ジはありますか? 子ども達に、英語や音楽を教えるときのコツは?

エリック: 教えるというよりは、まず恥ずかしがらずに、失敗してもいいから、先生自身が英語を気持ちよく使ったり、英語で遊んでいるところを見せてほしいな。
例えばジュースの時間だったら「Let's drink juice!」って、なるべく普通に。英語のCDをかけて、子ども達と踊ってみるとか。

編集長: どういったことを考えて作曲されるのですか?

エリック: 大事なのはコミュニケーション。
僕と子ども達の。子どもと親御さんの。子ども同士の。いろいろなコミュニケーションが生まれる歌を作っていきたい。
子ども達の日常の生活から出てくるようなことや子ども達が身近に感じることを歌にして、子ども達のわくわくドキドキや安心感を共有していけたらいいなあと思います。
よくイベントで「Yakisoba, Please!」って歌います。「Please」は何かをお願いする時の大事な魔法の言葉。そんなふうに歌を通して、マナーとか大人が子どもに伝えたい大切なことも歌にしていきたいなと思います。
子どもの歌でも大人の歌でも、「英語の自然なリズムやメロディーをこわさない」。この文章にはこのリズム・メロディーしかないと決めつけるのではなくて、英語の言葉や文章のなかにあ る本来のリズムをみつけて歌にしていくのが僕の仕事。
ちゃんと自然な英語のリズムにフォローしている曲は、英語の音やリズムにも慣れやすいし、会話でも再現しやすいと思います。それがすごく大事ですね。

元祖「イクメン」が語る男性の育児参加

対談風景

編集長: 男性の育児参加増加についてどう思いますか?

エリック: 僕は父親の子育て参加は当たり前だと思っています。お父さんが子どもの毎日に参加するのはすごくいいこと。それぞれの家族にいろいろな事情があるとは思うけど、時間より質を大事にして、なんらかの形での参加は大事だと思います。
振り返ってみると、うちの場合は僕が家で仕事して、奥さんの方が外で仕事してた。CDを作る仕事をしていた時、すごいペースで曲を作らなくてはいけなかったけど、奥さんは朝早くから夜遅くまで仕事だったので、僕が毎朝9時までに息子を保育園に連れて行き、遅くても5時には迎えに行っていた。
9時から5時までは、わーっと集中してすごいペースで曲をつくり、その後はもう100%息子との時間。散歩しながら家に帰ったり、一緒に遊んだり、息子と過ごす時間は自分にとってもすごく良かったですね
同じ近所に20年くらい住んでいるんだけど、最初の頃は野菜を買いに行っただけで「えらいね~!」って言われて(笑)、「どこもえらくないよ」って思った。アメリカなら、男が買い物するのは当たり前だから。
「イクメン」の動きはいいことだけど、当たり前の時代にもなっていってほしいな。

編集長: 男性保育士さんも増え、男性が子育てに積極的になってきて、日本も変わってきています。女性ばかりでなく男性保育士がいることで遊 び方もひろがるという部分で、男性の役割、女性の役割というものがあるかと思います。

エリック: 仕事でよく幼稚園や保育園に行っているけど、明らかに男性保育士さんが増えてますね。Great!
男性、女性の役割の違いというよりは、それぞれの先生の個性が活かされている保育園は素敵でしょうね。

保育園、幼稚園の先生は大事な仕事Go for it!(頑張って!)

編集長: 読者の先生方に向けて伝えたいことは?

エリック: 朝から夕方まで子ども達に寄り添っていく先生って、すごく大事な仕事ですよね。「Good Job!(素晴らしい!)」としか言えない!
僕の仕事はある意味ずるいですよね。コンサートの30分間「Yeah~!」とやって「楽しかった~Bye!」でいなくなっちゃうから。
毎日毎日、丁寧に子どもと向き合う先生方には「Thank you! Thank you! Thank you!」感謝の気持ちで一杯ですね。
僕が面白いと思うのは、園長先生の影響の大きさですね。園の雰囲気を感じて園長先生に会うと「なるほどね~!」と思います。園長先生のリーダーシップ、ユーモア、園をまとめるパワー、すごいね。尊敬します。

編集長: 保育士を目指している方に向けてなにか伝えたいことはありますか?

エリック: Go for it!(頑張って!)すごく尊敬している仕事なので。
色いろ大変だとは思いますが、一人ひとりの子どもにいい影響を与えていくような、Happyさや優しさを伝えていく先生を目指してください。Happyで優しい子どもを育てるということは、Happyで優しい社会をつくっていくことにつながる仕事だから。
頑張ってください! 感謝しながら、応援しています!

エリック・ジェイコブセン(Eric Jacobsen)

エリック・ジェイコブセン(Eric Jacobsen)

経歴

アメリカ・マサチューセッツ州ウィリアムズ・タウンで育ち、コロラド州立大学にて日本文学と日本語学を学ぶ。山梨県での1年間の交換留学生活をきっかけに日本との関係がはじまり、現在の在日年数は25年近くになる。
20年以上にわたりエデュテインメント(=教育エンターテイメント)の世界を中心にTV番組、子 供英語教材(CD/DVDなど)などに数多くの曲を送りだす。作詞作曲活動のほかTV番組出演や番組制作など多岐にわたる活動をしている。
エリックの自然な英語のリズムを生かした曲作りと言葉を巧みにあやつる詩的センスは、子ども/親/英語教育関係者に大人気。
NHK教育番組「えいごであそぼ」への出演は今年で18年目を迎える。同番組へ提供している楽曲は日本中の子どもたちが自然な英語を身につけていく大きなサポートとなっている。
子どもも大人も無理なく英語で歌って踊れる英語ショーも日本各地で展開中。

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