対談

ヨコミネ式は、子ども達全員を自立させるという考えから生まれた──社会福祉法人純真福祉会理事長 横峯吉文さん

ヨコミネ式は、子ども達全員を自立させるという考えから生まれた:横峯吉文

2014.10.15

子育ての目的は早く子どもを自立させること

対談風景

編集長: 横峯さんが開発したヨコミネ式とは、どのような学習方法なのでしょうか?

横峯: ヨコミネ式は、子どもの成長段階に合わせて自立を促す学習方法です。
その子ができるレベルから始めて、本人が「もっと難しいことにチャレンジしたい!」と思うようになったら新しい課題を出していく学習方法です。私が子ども達を見て気付いた成長の法則に沿って作られています。

編集長: テレビで特集されていたヨコミネ式は、「全員が跳び箱の○○段を跳べるようになる!」というような部分がクローズアップされていますが、その本質は子どもの自立にあるということですか?

横峯: 私は、子育ての目的は「いち早く子どもを人間として自立させること」だと考えています。それも、保育クラスの中で数人だけが自立できたのでは意味がありません。子ども達全員を必ず自立させるという考えから生まれたのがヨコミネ式です。
近年、若年無業者(15歳から35歳の間の年齢で、仕事をしていない若者)が急増しています。なぜ自立できない若者が増加しているのかを私なりに分析したところ、親と保育園が抱える「子どもに対しての三つの問題」に気が付きました。
一つ目の問題は「過保護」です。
現代において子どもに関わる人は皆安全に保護するという考えが第一なので、子どもは自立する機会を奪われることになります。
二つ目は「過干渉」です。
大人は子どもに対してすぐに自分が知っていることを教えようとして、子ども自身に考えさせる時間を与えません。これでは自分の頭で考える習慣が身に付くはずもありません。
三つ目は「溺愛」です。
最近の親は「かわいいかわいい」と子どものことをいつまでも赤ちゃん扱いする傾向が強いように感じます。2歳までは赤ちゃん扱いでも良いと思いますが、子どもが様々なことを覚える時期になったら、子ども自身に頑張る機会をたくさん与えて下さい。問題やトラブルに直面して、それを子どもが自分の頭で考えて乗り越えることで、初めて自立に繋がると思います。

編集長: 私も確かにそう思います。間違った子育てが子どもの自立の妨げになっているということですね。

横峯: そうなのです。幼児期の体験はその子の人生に大きく関係します。子どもの将来のためにも、幼児期に「一人で何かをする」ということを学ばせてあげる必要があると思います。
たとえば、小さい子どもは大人のお手伝いが大好きですが、「危ない」「かえって手間がかかる」と、全ての作業を大人がやってしまうことも多いと思います。しかし、何も手伝わせないまま甘やかして育てると、やがて子どもは「自立できない若者」になってしまうのです。

過度に世話を焼かず見守ることが大人の役目

編集長: 子どもが自分で何かをする体験を取り上げるということは、かえって子どもを甘やかすことになるのですね。
では、子どもが自立するために、大人は何をすればいいのでしょうか?

横峯: 私の運営している保育園では、文字が読めるようになった子どもに「本を読んでもらうのではなく、お母さんに本を読んであげなさい」と教えています。
すると子どもは、台所で忙しく働いているお母さんの目が届く所に机を置いて、毎日大きな声で本を読んでいます。
このように、子どもができるようになったことに関しては、過度に世話を焼かずに見守ることが大人の役目だと思います。

編集長: 「お母さんに本を読んであげて」と、目的を与えるのですね。子ども自身の手伝いをしたいという欲求も満たされる、とても良い方法だと思います。
この学習方法は、何歳から始めても効果が出るものなのでしょうか?

横峯: 身体能力や頭脳は6歳までの生活で決定すると言っても過言ではないくらい、人間にとって幼児期は大切な時期です。
ヨコミネ式の教育方法も6歳までの幼児期に取り入れると、高い効果が出ると思います。

編集長: 6歳までの生活で身体能力まで決まってしまうのですか!

横峯: はい。幼児期にどれだけ運動をしたかが鍵になります。
私が幼いころは、農作業に行く母親と一緒に何キロも山道を歩いて運動能力を身に付けました。
しかし今の保育園では大した運動をさせずに、遊びのようなダンスや狭い空間での室内遊びばかりさせている所も少なくありません。これでは付くはずの運動能力も付きません。最近の子どもの体力低下は、子ども自身の問題ではなく保育環境の問題です。
また、最近の保育園はケンカというコミュニケーションを兼ねた運動を子どもから取り上げてしまいました。子どもは取っ組み合って真剣に相手とぶつかることで体力を付け、人間関係を学びますが、大人にケンカを禁止されて運動神経やコミュニケーション力の弱体化に拍車がかかっているのです。
私の保育園では、子ども達が全力で取っ組み合いをできるように、「ヨコミネ式レスリング」という、ルールを決めてスポーツ化したケンカを実施しています。

編集長: 武道で礼儀作法やコミュニケーション力を養うという考え方に近いですね。
他にはどのようなことを幼児期の間に学ぶべきだと思いますか?

横峯: 読解力を身に付けると良いと思います。
何故かというと、人間が知識を求めたいと思うのに必要な力が読解力だからです。これがなければ「知識=難しいこと」という先入観が頭の中で出来上がってしまいます。
私の保育園では毎日本を読み、文字を書き、分からないことを辞書で調べます。これを4歳から6年ほど継続すると、知識を得るための素地である読解力を養うことができます。
また、数字に強い頭を作るためにヨコミネ式の教材を使用した算数の勉強も行っております。この教材で勉強した子ども達は4歳頃には自然と掛け算ができるようになり、小学2年生で約8割の子どもがソロバンの1級試験に合格します。
ソロバンの他にも、仕事や手伝いなど、私が保育園の子どもに何かを教える時は全て自立を促す「ヨコミネ式」に則っています。

編集長: 4歳で掛け算ですか!すごいですね。幼少期の教育がどれだけ大切なのかが分かります!

教えるのではなく、学ぶための環境設定がヨコミネ式学習法

横峯吉文さん

横峯: しかし、この学習方法は保育園だけで行っても意味がありません。ヨコミネ式は親の協力を得て自宅学習を行うことで、初めて子どもの身に付きます。
自宅でもヨコミネ式の学習を行うことで、子どもは生活をヨコミネ式で一貫させることができますし、保護者と保育園は子育ての楽しみを分かち合うことができます。

編集長: 自宅では親が子どもにヨコミネ式学習方法で教えるということですか?

横峯: ヨコミネ式は子どもに何かを教えるのではなく、子どもを導くための環境を設定する学習方法なので、子どものために時間を割き、付きっきりで勉強を教えることはありません。親は自分の仕事をしながら子どもに指示を出すだけです。

編集長: なるほど、自分で学習する方法を保育園で身に付けているからこそ、指示を出すだけで自宅学習が成り立つのですね。
それでは、保育園の園長先生に伝えたいメッセージはありますか?

横峯: 保育園は園長のための場所でも、保育士のための場所でもなく、困っている親のための場所だということを伝えたいです。
私は、働きに出るお母さん達に「子どもは私達に任せて、頑張ってきなさい」と言ってあげることが保育園の役目だと考えています。そのため、私が運営している保育園の一つは24時間365日いつでも子どもを預けることができます。

編集長: 最後に、MIRAIKUの読者に向けてメッセージをお願いします。

横峯: 子どもと接する大人に伝えたいのは、“全ての子どもは天才である”ということです。
その証拠に、赤ちゃんは生まれて一年も経てば、自然と歩き出します。これを天才と言わず、何と言うのでしょう?
この才能を生かすのも殺すのも、幼児期の環境です。私達は子どもの才能を育てる重要な役目を担っているのだということを忘れずに、子どもにしっかりと向き合いましょう。

編集長: 全ての子どもは天才ですね!
横峯さん、本日は本当にありがとうございました!

横峯 吉文

横峯 吉文

経歴

1951年3月1日生まれ。
鹿児島県志布志市に社会福祉法人純真福祉会「通山保育園」を設立。
現在は3つの保育園と「太陽の子山学校演習場」、「太陽の子児童館」の理事長。
卒園までに園児全員が逆立ちで歩いたり5歳児で漢字が読み書き出来たりと、そのユニークな「ヨコミネ式」子育ては全国的に話題となり、カリキュラムとして採用する保育園・幼稚園が急増している。
女子プロゴルファー横峯さくらの父・良郎氏は実弟。
TV出演『フジテレビ 「ノンストップ」』など多数。
著書に「ヨコミネ式 才能を引き出す習慣術」(幻冬舎)、「ヨコミネ式 天才児をつくる勉強のスイッチ」(日本文芸社)など。