保育園訪問

アートと自然を基盤に子どもの創造性を育む保育を実践──しぜんの国保育園

アートと自然を基盤に子どもの創造性を育む保育を実践──しぜんの国保育園

2018.10.15

しぜんの国保育園について教えてください。

園長:齋藤紘良さん

しぜんの国保育園は、35年続く歴史の中で、常に全てこども中心という理念を掲げて保育を行なってきました。保育というものは子どもの生活を大事にするということに尽きると思っています。基礎となる生活が壊れてしまっては元も子もないですから、子どもの生活や時間を無視して、大人の想いだけで固めたようなプログラムはなるべくしないようにしています。生活を充実させる3つの要素である「食・自然・表現」を柱に、子ども達の生活をどういった形で作り上げていくかというのがこの園で取り組んでいることですね。
ここは広い雑木林に囲まれた自然豊かな場所なので、それを活かした里山保育や、表現として創造性を育むアートや音楽も行います。とっかかりはそういった大人が提示するものだったりしますが、そこから深めていくのは子ども達。全て子ども達から発信したことを広げていくようにしています。保育士はそれをサポートする形ですね。たとえば去年は、メキシコのミュージシャンが演奏してくれる機会がありました。そこから発展して、子どもが自分達でメキシコで「いただきます」はどう言うのか、どんな国旗なのかを調べたりしました。カリキュラムは設定していますが、子どもに合わせてどんどん変化しています。

プログラミングを学べるおもちゃを導入しているとうかがったのですが。

子どもが自主的に考え行動するのを温かく見守っている様子♪

キュベットというおもちゃを使っていますが、それは子ども達に特化したプログラミング教育というわけではなく、遊びの中の1つという位置づけです。なぜキュベットを取り入れたかというと、単純に面白いからです。面白くもないものを無理にやっても意味がありません。プログラミングをやればいいということではなく、やってみて面白い、じゃあ構造はどうなっているんだろう、という興味の広がりが重要だと思います。
子どもの中には、楽しいと思う心がいたるところにあって、それは大人が提示しているものだけでは物足りないのではないでしょうか。自分が楽しい、もっとやりたいと思うものに出会うかどうかは、その子達がいかに解放されるかがポイントなのだと思っています。キュベットは、その解放されるスイッチを形作るパーツの1つなんです。やってみたいという心こそがプログラミングの第一歩だと思っています。この園では、そういったスイッチを子どもと共に作れるようにしたいです。

小学校でのプログラミング必修化を見据えてということではないのですね。

すべては子ども中心!

プログラミングをやれば、これからの時代を“絶対に”生き残れるなんてことはありませんよね。結局、その時に必要かどうかというジャッジを自分で下せるかどうかだと思います。
そもそも戦後の日本の教育、保育は「戦争をしない子を育てる」というベースがありました。戦後の日本保育の基礎を作った人びとは、戦争を経験して失敗だったと明言しています。自分達の子どもにはそういう時代ではない世界を作ってほしいという願いで保育を始めているんです。その根本を抜きにしてしまっては、どんなに勉強して頭が良くなったとしても、21世紀を生き抜く裏で誰かを蹴り落とすという人にしか育たないでしょう。「プログラミングを勉強しました、勉強した子だけが生き抜けます」そんな世の中にして良いものでしょうか。
プログラミングも、困難に当たった時に様ざまな道や方法を試したり考えたりするためのツールの1つ。全ては20世紀に戦争し、負けて、色いろなものを壊された、そういう過ちを繰り返さないためものだと思います。

保育士の質の向上のためにやっていることはありますか?

基本は話し合いですね。先ほどの、戦争をしないというのは僕らの世代、さらにその次の世代も目指すべきところで、そのための第一歩は対話から始まります。
この園には様ざまな人が寄り集まっています。たまたま近所に住んでいたからパートに応募した人、たまたま就活中にインターネットで見て就職した人、どうしてもこの園で働きたくて来た人もいます。これだけ様ざまな価値観があって、みんなが同じ方向を向くというのは容易ではありません。ですから、この場所でどうやって充実した日々を過ごすかを組み合わせていくには、寄り集まった人々一人ひとりの想いを少しでも出せる場所を作る必要があると考え、話し合いの時間を設定しています。しかし、話せば話すほど話は尽きなくて、時間が足りません。就業時間は決まっているし、残業だってしたくない。となればやはり効率をあげなくてはいけないので、そのための工夫を常に考えています。

今後の展望を教えてください。

森の中に現れた“小さな村 ”のようです。

平成26年に園舎の建て替えを行なったのですが、コンセプトが『small village』なんです。子どもと大人が自然に関わり合いう、昔からあるような、それでいて新しい保育園を目指していて、地域開放カフェや芸術家のシェアオフィスも組み込んでいます。なぜそうしたかというと、保育園という既成概念に囚われず、子どもを中心に置いて自治していくという形で、この場所を守っていくという人が寄り集まる村。保育園というよりは、そういう様ざまな世代の様ざまな人が寄り集まってくる場所を作りたいと思っているからです。

しぜんの国保育園といえば○○というと?

「寄り合い」ですね。集まったメンバーで色いろと考えていけばいいと思っています。集まってくる人達によって変わってくるコミュニティー。だから、去年のしぜんの国と今年のしぜんの国は全然違うし、毎年新しい子どもが入ってくるから毎年違う。そんな場所を、永遠に続けたいですね。

しぜんの国保育園

しぜんの国保育園

住所

〒194-0035
東京都町田市忠生2-5-3

アクセス

小田急線・JR横浜線町田駅 町田バスセンター3番乗り場より忠生二丁目バス停下車徒歩4分

開園時間

月~土 8:30~16:30、延長~20:00

連絡先

TEL:042-793-4169 FAX:042-793-4170
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