保育園訪問

見守る保育で子どもが主体的に動ける環境を整える──せいがの森保育園

見守る保育で子どもが主体的に動ける環境を整える──せいがの森保育園

保育園の室内環境へのこだわりについて教えてください。

園長:倉掛 秀人さん
園長:倉掛 秀人さん

あらかじめ決まった保育室のスペースに園児を振り分けるのではなく、広い部屋をパーテーションや家具で区切り、園児の数や年齢に合った保育室を作ることができるようになっています。
せいがの森保育園の園舎が完成した当時、園長の藤森は「どんな子が来てどういう生活になっても対応できるような、柔軟性のある建物や空間にしよう」と考えました。これはその想いが詰まったこだわりの室内環境です。
人が育つということは、人間関係が育つという意味もあります。一人で勝手に育つのではなく、周りの人間と一緒に何かを学びあった結果、人が育ちます。
「周りの人間との関係性をどれだけ豊かにしてあげられるか」というテーマについて、昔から考え続けていました。その一つの形が、この園舎だと思います。
もちろん私が園長になってからも、周囲との関係性を豊かにするための環境を作るという方針は引き継がれています。
他にも、子どもは家庭だけで育てるものではなく、地域の中で育つものという考え方を基に、地域の方が自由に使える子育てセンターや、保護者がコミュニケーションを取ることができる場所として、絵本の原画などを飾った美術館が園舎に併設されています。
このような部分が評価され、保育は平成13年に「年齢の異なる子ども同士、子どもと大人、大人と大人(保育園と地域)を結ぶコミュニティとなりうる」という理由から、グッドデザイン賞を受賞しました。

子ども達への配慮で心がけていることはありますか?

保育室

保育園内の空間を子どもに合わせて変化させるという点と、子どものための環境を整えるという点です。
せいがの森保育園の考える環境は、3つの要素でできています。

1つ目は子どもや保育者(人)です。保育者とは保育士や保護者、栄養士や看護師など、子どもに関わる人達全員を指します。大人は子どもに大きな影響を与える存在となるので、まずは目標や保育方針を明確にして保育者の足並みを揃え、子どもの見本となる人物という環境を整えます。

2つ目は、物です。どこにどんな遊具や物を置くかは子どもの発達によって変わりますし、バリエーションも豊かにしなければなりません。どうすれば子どもの遊びや生活を充実したものにできるか、厳選・配慮しています。

書道も自由です

3つ目の環境は、空間です。小さい子ども達がくつろぐことができる空間や、大きい子ども達が活発に走り回ることができる空間、集中して何かに取り組むことができる空間というように、空間を大切な要素だと考えています。

このように、子どもが主体的に動くことができる環境を整え、見守る保育を心がけています。
この保育方針のねらいは「子ども達の自立」なので、子ども達が自分で判断して行動することを何よりも大切にしています。
園内の安全面での工夫も、「子ども自身が主体的に生活することができる」という考えを踏まえて、子ども自身の危険回避能力を育てることを大切にしています。例えば、廊下で走るのは危ないからとむやみに禁止するのではなく、あえて子ども達に「廊下で走ったら、どういう危険があるのだろう」と考えさせています。
園内には、花瓶や観葉植物など、一見すると危ない物が置かれているように見えますが、子ども達自身が「花瓶の近くで走ったら危ない」など、各々が判断して危険を回避しています。

保育士の質の向上のために取り組んでいることはありますか?

見立て遊びと制作遊びが連動するゾーン

園のスタッフとして臨床心理士を雇っており、子どもの保育計画などは発達心理学の面から心理士にアドバイスをもらってプランニングしております。
特に、「今の環境は本当に子どもの発達を促すものになっているのか」と考えるための専門性が保育士には必要だと考えているので、心理士からのアドバイスを基に、子どもの特性と興味関心を理解して環境を用意する「子ども理解の力」を大切にしています。
また、個性的な子や発達障がいのある子は、一般的なマニュアル通りの保育だけでは理解することができません。そのような子ども達の心を理解するという意味でも、心理士に週に1回来てもらい、いつでも保育士が相談することができるようにしています。
また、子どもは日常の遊びや生活から様々なことを学びます。
例えば、実を付けた梅の木が園庭にあったとします。直に触ることで子ども達は「梅の実はどういうものなのか」ということを知りますが、保育士が「梅の実を使ってジャムを作ろう」と提案しなければ、実を二次的に活用できるということに気付けません。
子どもにどのような経験をさせてあげたいかという考え方や保育士の専門性について、年間4回の園内研修を行っております。

保育園で行っているカリキュラムについて教えてください。

2階のブリッジは地域シンボルの見附橋

せいがの森保育園では、勉強時間が定められた教育カリキュラムを詰め込むのではなく、あくまで毎日の生活の中で自然に学ぶという流れを大切にしています。
遊びや生活の中に様々な学びを盛り込んだ生活モデルの保育方法なので、カリキュラムは時間では割り切れないものとなっています。
「子どもを遊ばせているだけで学びになっているの?」と、不安になる面もあるかもしれませんが、遊びの中には豊かな学びが展開されていて、発達に必要な経験が培われているのです。また世界的に見ても生活モデルのカリキュラムの方が教育モデルよりも優れているというデータもあります。

保護者への対応で気を付けていることはありますか?

体幹とバランスを育む園庭の波型遊具

保護者の子育て観と折り合いを付けて、せいがの森保育園の保育方針をしっかりと理解してもらうことです。
何のためにこのような保育を行っているのかを理解してもらえれば、保護者との信頼関係にも結び付くので、安心して子どもを預けてもらえるようになります。
そして保護者に、保育園と保護者が共に子どもを支えていくという認識を持ってもらうことで、保育士と保護者が同じ側に立って、子育てには何が必要なのか探求していくことができると考えています。

子ども達に将来どのような子になってほしいですか?

毎日の食材の産地が一目瞭然

せいがの森保育園の理念は「共生と貢献」です。
色々な人達と共に生き、他者の幸福を自分のことのように考えられる、社会の役に立つ人間になってもらいたいという想いで保育に臨んでいます。
子ども達には、自分ができないことは他人に頼むことができて、頼まれたら一緒に何かをしてあげられる大人になってもらいたいと思います

せいがの森保育園さんといえば○○。と言えば?

「見守る」です。子どもに指示を与えて何かをさせるのではなく、子どもが何かに挑戦することができるような環境を整えて、子ども達を見守るというスタンスを大切にしています。

せいがの森保育園

せいがの森保育園

住所

〒192-0363
東京都八王子市別所1-73

最寄駅

京王相模原線南大沢駅より徒歩18分

開園時間

8:00~18:00(早朝・延長保育あり)

連絡先

TEL:042-670-7167 FAX:042-670-0467
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