保育園訪問

光あふれる園舎で自分自身で選択する主体性を育む──このはな保育園

光あふれる園舎で自分自身で選択する主体性を育む──このはn北円

2021.10.15(MiRAKUU vol.36掲載

このはな保育園さんについて教えてください。

施設長:桐生常朗さん

このはな保育園は昨年3月に開園した企業主導型の園です。定員は19名で、0~2歳のお子さんをお預かりしています。
地方では小規模認可園が少ないということもあり、小規模で低年齢児に特化し、認可並みの保育を行なっているというところが特長です。0~2歳というと、なにかを教え込むというよりも愛着形成などの人と人との関わりが一番大事な月齢で、少人数保育のメリットが大きい時期だと思うので、その点を大事にしています。
園から少し歩くと田んぼや畑が広がっており、オタマジャクシを捕まえて育てたり、近所の方に農作物を貰ってお散歩から帰ってきたり、田舎ならではの光景もあります。

とても素敵な園舎ですが、何にこだわりましたか?

三重県建築賞ももらった、木のぬくもりに包まれた魅力的な園舎★  15回キッズデザイン賞・子どもたちを産み育てやすいデザイン部門受賞!

園舎は、施設っぽくしないでほしいと設計士さんにお願いしました。「連れてこられた」感のある場所、単に預ける預かるだけの場所にはしたくなかったのです。
建物は木造にこだわりました。できるだけ自然なもので作るというコンセプトで、外装はもちろん建具や窓枠など内装も木を使っています。壁は塗り壁です。
窓がなくて白いのっぺりした壁で天井から蛍光灯がぶら下がっていて──という感じだとすごく施設感が出てしまうので、採光はとても考えられており、自然光をうまく取り入れた設計になっています。昼間は照明がいらないくらいです。天井に色いろな設備があると施設っぽくなるので、照明だけでなく空調も床下に持ってきたのも特徴の一つです。
また、大きな窓は開放できるようになっていて、風が通り抜けやすい造りになっています。園庭には全面に天然芝を張り、中でも外でも裸足で駆けまわることができます。光や風、土や木、そういう自然の物を触れられる環境になっています。
おかげさまで、三重県建築賞をいただいたり、建築雑誌に載ったり、様ざまな方面からご好評をいただいています。

保育ではどんな取り組みをしていますか?

このはな保育園

0~2歳では、いわゆる指導は不要だと考えています。今までの保育は、すべきことが決まっていて、それに対してプログラムを組んで着実にこなしていくということが大事で、それができる先生や子どもが評価されてきました。しかしこれからの時代は、子どもが色いろなことを自分で選択できるということが大事だと思うのです。実際の保育では、活動を2個以上に分けて子どもが選択できるようにし、自ら選んだことに参加できるように促すなどしています。お散歩に行きたいというのだったら、 一緒に歩こうね、嫌になっても頑張って帰ってこようね、という具合です。
危険なことに対しては注意したり叱ったりしないといけない時もありますが、基本的に怒らない保育、認める保育をしています。子どもが何をしたいのかを考え、子どもがしたいことを認め、できるだけ怒らずに、穏やかな保育ができればと思っています。
こういった、全員が全員を見て個々に合わせた保育ができるという点で、特に低年齢児にとっては小規模園は適していると思います。

主体性の保育をするにあたって、先生の教育で取り組まれていることはありますか?

保育には正解がありません。たとえば、ここでは怒らない保育をしていますが、怒る先生だって子どもをいじめたいわけではなくて、それも一つの愛情なわけです。遊びや勉強にしても、必要だと思う人もいれば、必要ないという人もいる。すべての活動に関して正解がないので、細かいノウハウよりも何よりも、園が共通認識を作っ て提示するということが先生に対しての一番の教育になるのではないかと思っています。どんなに頑張って保育をしても、その努力のベクトルが園と合っていないと、園としては評価できません。それは先生にとっても園にとっても子どもにとっても不幸なことなので、そういったミスマッチが起きないようにしていくのが園としての務めだと考えています。

ここで育った子ども達に将来どうなってほしいですか?

このはな保育園

20~30年前の社会には、大企業に勤めて結婚して子をなしてマイホームを持って、というような正解があったと思います。今はそれがなくなってきていて、自分自身で生き方を選択できるということが大事になってくるでしょう。実は選択するというのはとても難しいこと。それができるような人になってほしいと思います。主体性を持った学びというのはそれを育てることだと思っているので、0歳から、教育というよりは一緒に関わっていく中で、大人も子どもも学んでいけたらいいのかなと思っています。

今後の展望を教えてください。

園舎がご好評いただいておりありがたいのですが、外身だけではなく中身ももっと良くしていかなければと思っています。保育事業者の常識と一般企業の常識は違うところがあるかと思いますが、幸い私達は両方を見ることができます。その上で私達が思う理想に近づけていくということを、先生達と一緒に考えて、じっくりとやってい きたいと思います。
会社としては、このはな保育園での経験を一つのノウハウとして、ほかの園さんの運営のお手伝いやコンサルティングに繋げていきたいと考えています。このはな保育園を立ち上げ運営するにあたって、わからないことがたくさんあったんですね。制度的なことはコンサルティングの方に教えてもらえるのですが、保育事業者として先生にどう対応したらいいのかとか、制度にないことや明文化されていないことに関してはどうすればいいのかわからないことが多く、そもそも誰に聞けばいいのかもわからない。そういう部分を、このはな保育園を一つのモデルにしながら、ほかの園さんにもアプローチして共有・意見交換して繋がりを持ちたいですね。

このはな保育園といったら?

「自由」でしょうか。この単語が的確かどうかはわかりませんが、自分達で考えて主体性を持ってやっていくというところが自由だなと思います。

このはな保育園

このはな保育園

住所

〒510-0213
三重県鈴鹿市南旭が丘3丁目2132番地

アクセス

近鉄名古屋線 白子駅より徒歩13分
白子駅西口バス停より 白子中学校バス停下車 徒歩9分

開園時間

月~金 8:00~19:00

連絡先

TEL:059-386-2055 FAX:03-3971-7110

このはな保育園