保育園訪問

見て、触れて、感じて、考えて、行動する。「体験は教えられない!!」──ふじようちえん

見て、触れて、感じて、考えて、行動する。「体験は教えられない!!」──ふじようちえん

2022.7.15(MiRAKUU vol.39掲載

ふじようちえんさんについて教えてください。

ふじようちえん 園長:加藤積一さん

加藤: ふじようちえんは昭和46年に創立し、50年に渡りモンテッソーリ教育を基本とした教育・保育を行なっています。他に、様ざまな形態の保育園を4園運営していますが、すべて「子どもが育つところ」という認識でやっています。

徳野: モンテッソーリ教育を基本としているので、私達は、それぞれの子どもの育ちの状況を観察して、その子が育つためにどんな関わりができるかを考え、一人ひとりに合った環境を整えるということに気を配っています。

ふじようちえん 主任:徳野友美さん

加藤:「目の前の子どもに何をさせようか」ではなく「目の前の子どもが何をしたいのだろうか」という捉え方を大切にしています。例えば、英語ができるようになってほしいから0歳から英語教育環境を設定するのではなく、子どもが興味を持ち始めたなと感じたらそれに適した環境を作ると、砂に水が染み込むように言語の獲得ができていきます。そのタイミングを逃さないようによく見る、観察するのが大切だと思います。
私は、主体的な保育の正体は、「おもしろがる力」だと思っています。他人から指示された活動は、どうしても能動的な活動にはなりにくいものです。簡単に言って、自分で感じたおもしろいことは自らやり始め、没頭しますよね。そこにこそ、子ども主体の姿があり、子どもがあそびの中で、学んで、育っていくのに一番良いのではないかなと思っています。

徳野: モンテッソーリ教育の教具を扱うことだけでなく、文化教育にも力を入れています。スマイルファームという園の農園があり、サツマイモを苗から育てて食べるなどの食育に繋がる活動をしたり、英語のカリキュラムでは英語を話せるようになるということを目的にしていて、英語の先生とコミュニケーションを取ったり、また、現在は毎週オーストラリアの子ども達とオンラインで話をしたりという交流活動もしています。

なぜこのようなユニークな園舎になったのですか?

そあ保育園

加藤: 園舎が楕円形で特徴的なのでよく注目されますが、子どもに自ら気付いてもらう環境作り、モンテッソーリ教育の考え方を形にしたらこうなっただけなんです。

例えばこの園庭に向けてすべる滑り台。少し急な角度で、勢いよく一気に滑ることで落差による脳への刺激があり、それが快感になり、何回も何回も滑ります。これは、脳への刺激を通して、子どもが自分で自分を育てている活動だと思います。楕円形園舎は「走り回りたい」という子どもの本能を刺激するのか、子ども達は本当によく走りますよ。

不便が工夫を生み、工夫することで子どもは育つ。ここでは、子ども達が、少し昔のちょっと不便な日本を体験することによって、気付く力、工夫する力を目覚めさせ、考える力を発揮し、子ども自ら育つ力をさらに高めてもらいたいのです。それには、子どもを少し困らせることが大切なんです。《不便による利益、不便益》と言っています。
クラスへの出入り口の戸は、軽く閉めても、子どもの力だと1cmぐらい開いてしまうようにわざと作ってあります。適当に閉めると隙間風が通るので、周りの子が寒いと言う。すると閉めた子はしっかり閉め直さなくてはいけません。そのことを通じて、物事をきちんとするという癖付けをしているわけです。
ガーゴイル(雨どい)は筒がなく、滝のように落ちるようになっていて、子ども達は手を出しては、濡れて喜んでいます。濡れて初めてわかるこの感触、体感するのが大事なんです。

実際に、様ざまなものを見て、触れて、感じて、考えて、行動してもらいたいですし、このサイクルを自ら構築していってほしい。「体験は教えられない」のです。
例えば、野球でこの球をこう打ったら絶対ホームランだと100万回言われても、打つのは本人。本人がそのタイミングを掴まない限り打てません。自分で掴むしかない。自分で掴んだことしか身についていかないのも、人生と同じですかね?

スマイルファームや食育について教えてください。

ふじようちえん

加藤: スマイルファームでは食育や行事と連携して、じゃがいも、さつまいも、大根、玉ねぎ、トウモロコシ、椎茸など様ざまな作物を作って、給食で食べます。梅ジュースを作ったり、田植えから稲を育てて脱穀、その後、藁でしめ縄を作ったり、季節に応じた活動もします。
また、稲を脱穀・精米して、塩むすびにして屋根の上で食べます。手に付いたご飯粒を口で食べると……本当のお米の味がわかるんです。スマイルファームの苺を採って、給食の時に1粒ずつ分けて食べるんですが、すごく愛おしそうに食べるんです。家でもっと高級な苺を食べていると思いますが、畑で見た“あの苺”だからこそ、愛おしく、美味しいんですね。
作物は、食育だけではなく、例えば、みんな「5」という数字や数詞は知っていますが、「5」が何者なのかわからないんですよ。そこで、ミニトマトを5個採って食べてみる。すると「5」が量として理解でき、数字と数詞と量の一致で理解が深まるのです。

園児数も多く園庭も広いですが、どのようにして全園児を見ているのでしょうか?

徳野: 基本的に1クラスは最大35人で2人担任ですが、当番制で様ざまな場所に職員を配置し、子どもがどこへ行っても先生がいるようにしています。職員は皆PHS を持っていて、状況を共有しています。
また、ICT を積極的に活用しています。アプリで子どもが興味を持っていたことやその日の出来事など育ちのエピソードを記録・閲覧することができ、全職員で共有しています。

加藤: 子ども達の遊びや学びの表側はアナログですが、運営管理等の裏側はハイテクで、ICT を活用して、一人ひとりの育ちやご家族とのコミュニケーションに役立てています。

徳野: ICT でお誕生日もわかるので、担任以外の先生もお祝いの言葉をかけます。バスの乗車も当番制で回っているので、自分のクラス以外の子にも接する機会も多いです。人数はいますが、一人ひとりみんなの目で温かく見ることができています。

ここで育った子ども達に将来どうなってほしいですか?

加藤: ズバリ、「幸せな未来をつくる人」です。ここで様ざまな原体験を通して、生きる力を蓄えていけば、やがて大人になって、その力が様ざまな場面で発揮され、何をやっても周りの人に笑顔を生み、幸せな未来をつくれる人になると信じています。
そのために、私達はモンテッソーリ教育を基本にして、子どもの育ちのお手伝いをすることを基本的姿勢としています。常に、その言葉、行動、立ち居振る舞いが子どもの育ちの役立っているのか? 子どもにとって手本となっているか? つまり、「大人が手本」を大切に、これからも、日々の教育・保育に臨んでいきます。幸せな未来をつくるために!!

ふじようちえん

ふじようちえん

住所

〒190-0032
東京都立川市上砂町2-7-1

アクセス

西武鉄道拝島線 武蔵砂川駅より徒歩15分
JR立川駅北口より2番のりば 大山団地折返場バス停より徒歩5分

開園時間

月~金 7:30~14:40/水 13:40
延長 7:00~8:40、14:40~18:30
土 7:00~18:30

連絡先

TEL:042-536-4413 FAX:042-536-6815

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