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保育士のメンタルケア講座vol.2 ストレスの正体って何? どんなことに気を付ければいいの?──精神科医・執筆家 奥田弘美先生

保育士のメンタルケア講座vol.2 ストレスの正体って何? どんなことに気を付ければいいの?

ストレスは体と心の変化。いい変化もストレスになる

編集長: 保育士のメンタルケア講座の連載第2回目です。
第1回は、全体像をおうかがいしましたが、今回は一歩踏み込んでメンタルヘルスの原因になっているストレスについてうかがってみたいと思います。
まず初めに奥田先生におうかがいしたいのは、ストレスという言葉を一般的によく使いますが、そもそもストレスというのはどういうものなのでしょうか。

奥田: ストレスというものは、一言でいうと『変化』と捉えていいと思います。

編集長: 変化ですか。

セルフチェックシート:ストレスとなりうる日常の刺激

奥田: ええ。皆さんはストレスというと「嫌なことや不快なことが起こる辛い出来事」や「怒られたり怪我や病気で体調が悪くなる」「大事な人と喧嘩する」などをイメージされると思うのですが、ストレスの大きな定義としては、生体に与えられる何らかの刺激によって、生体側が普段の状態からちょっと歪んでしまっている状態のことを言います。
その歪みというのが、体の歪みであったり心の歪みであったりするんです。
体の歪みでは「怪我」「病気」「体調不良」ですね。
何かが起こって、とても無理をしてしまった、怪我をしてしまったということで普段と違う状態になることを指します。
心の歪みでは、落ち着いた穏やかな気持ちというのが普段の状態ですが、そこに何か嫌なことが起こって非常に辛くなったり、悲しいことが起きて泣いてしまうことが普段と違う状態です。

編集長: 保育士のメンタルケア講座の連載第2回目です。
第1回は、全体像をおうかがいしましたが、今回は一歩踏み込んでメンタルヘルスの原因になっているストレスについてうかがってみたいと思います。
まず初めに奥田先生におうかがいしたいのは、ストレスという言葉を一般的によく使いますが、そもそもストレスというのはどういうものなのでしょうか。

奥田: ストレスというものは、一言でいうと『変化』と捉えていいと思います。

編集長: 変化ですか。

奥田: ええ。皆さんはストレスというと「嫌なことや不快なことが起こる辛い出来事」や「怒られたり怪我や病気で体調が悪くなる」「大事な人と喧嘩する」などをイメージされると思うのですが、ストレスの大きな定義としては、生体に与えられる何らかの刺激によって、生体側が普段の状態からちょっと歪んでしまっている状態のことを言います。
その歪みというのが、体の歪みであったり心の歪みであったりするんです。
体の歪みでは「怪我」「病気」「体調不良」ですね。
何かが起こって、とても無理をしてしまった、怪我をしてしまったということで普段と違う状態になることを指します。
心の歪みでは、落ち着いた穏やかな気持ちというのが普段の状態ですが、そこに何か嫌なことが起こって非常に辛くなったり、悲しいことが起きて泣いてしまうことが普段と違う状態です。

卒入園の時期はプライベートな変化を入れない

編集長: そうすると、保育園で一番ストレスを感じるのは、卒園入園の時期ですね。
4月になって新しい園児や保護者が入ってきて、慣れるまでは変化が多い時期なので、先生も知らないうちにストレスが溜まって、5月頃にストレスを抱えてダウンしてしまう先生もいます。
そういう時期に保育士が気を付けることはありますか?

保育士が気を付けるべき3つのポイント

奥田: まず、ストレスは変化なので、卒園入園の時期は変化が起こるのは目に見えているので、そこにプライベートな変化を加えないこと。
例えば、その時期に結婚や旅行など、プライベートの変化が加わると心身共に疲労が激しくなります。
変化を公私共に起こすと消耗度が激しいので、その時期は避けると良いですね。
また、できるだけ睡眠時間を取り、ちゃんとした食事をすることです。
一人暮らしだと、忙しい時は食事がいい加減になったり、夜遊びして睡眠時間が取れなかったりするのですが、そうすると体調不良がまず先に表れ、そのあとに疲労が出てきてメンタル不調に繋がるということもあります。
変化の多い忙しい時期ほど、普段より規則正しい生活を心がけることがとても大切です。

また保育園でも、その時期は集中して一人の人に負荷をかけないことですね。
例えば、卒園の時に責任者として頑張った先生には、入園時にはサブに回ってもらい、緊張を続けさせないことです。
園長先生としては、優秀な方や経験者の保育士に任せたいと思いますが、変化が立て続けにあり、プレッシャー(精神的重圧)のある仕事を数か月に渡って任せますと、心身の疲労は進んでしまいます。
やっと一息ついたという時に、ガクっと体の不調が来たりメンタルがやられてしまうので、一人の人に連続させないということを気を付けていただきたいです。

保育士のストレスに対して園長先生が気遣うこと

編集長: 園長先生は一人の人に集中して責任ある仕事をさせるより、ある程度仕事を振り分けるように気を遣うと、保育士にストレスの負荷がかからないということですね。

奥田: そうですね。あと、行事も見直せたら見直した方が良いと思います。

編集長: 行事を見直すとは、どういうことですか。

奥田: 卒園入園で保育士も体力気力を使うので、入園の時期が終わってすぐに保護者を呼んでの発表会や交流会、残業しなければならないような大きな行事は避けてあげるなど、行事を立て続けに入れないということが良いと思います。

編集長: 他に園長先生が保育士に対して、気を付けてあげることはありますか?

保育園、園長先生が部下に対して気を付けるべき3つのポイント

奥田: 仕事に対して頑張りすぎてしまう人は、大きな行事が重なると緊張状態が続き、よく不眠に陥ります。
やらなければいけないことが次から次へとあるので、気になって夜眠れなくなったり、残業も多くなり仕事に関わる時間も増え、心身が安らぐ時間が減るのです。
頑張りすぎていると思う人ほど、気にかけて「ちゃんと眠れているか」「きちんと食事をしているか」など時どき軽く質問してあげたらいいと思います。
聞いてあげる、気遣ってあげるということが必要です。
それでもその人が限界だという感じが見受けられたら、ヘルプを入れて交代させてあげられれば一番良いです。
そんな風に、声かけをするということが大切です。

また、新卒の先生もその時期に入社するので、大きな変化を受けていると思っていただいて良いです。
新卒の先生でメンタルを病む人は意外と多いのです。
経験がなく、初めての職場は人間関係も一からで、慣れるまでの半年ほどはエネルギーを使います。
なので、新卒の先生が入ってきた場合、また新卒ではなく保育士経験がある場合でも、すぐに大きな役職を与えたり、責任者にしたり、頑張り過ぎないようにすることも大切です。
新しく入ってきた先生には「皆に馴染んでいるか」「コミュニケーションが取れているか」など、一か月ごとに気持ちを聞いてあげる時間を取った方がいいと思います。

編集長: そうですね。特に新卒の先生に対しては、まめに声をかけて、健康にも気を遣うことが大切ですね。
次回のテーマは『ストレスが溜まるとどうなるの? どういう変化が体に出てくるの?』です。お楽しみに!

奥田 弘美先生

奥田弘美先生

経歴

精神科医・産業医として老若男女のストレスケアやメンタルケアに関わりながら、本の執筆や講演にて心身の元気アップ法を精力的に伝えている。雑誌、新聞などの監修・連載経験も多数。
近著は「部下をうつにしない上司の教科書」(東京堂出版)、「ココロの毒がスーッと消える本」(講談社)、「自分の体をお世話しよう ~子供と育てるセルフケアの心~」(ぎょうせい)。
私生活では13歳と9歳の男児のママであり、保育園に子育てを支えてもらったことに深く感謝している。