保育園運営のヒント

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第22回 歯磨きを嫌がる子への対処方法、どんな歯ブラシ・歯磨き粉を選ぶのが良いの?〈後編〉

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第22回 歯磨きを嫌がる子への対処方法、どんな歯ブラシ・歯磨き粉を選ぶのが良いの?〈後編〉

2022.1.17

私も学生のときに長時間ブラッシングを体験した1人です。それほどブラッシングは難しく、完璧にしたいのなら少なくとも数時間のブラッシングが必要とされます。歯磨き剤をつけると反ってブラッシングはできず、清涼感だけを増すことになります。歯磨き剤でプラークを除去することは不可能であると言っていいほど、口腔内細菌は唾液という消化液の中で増殖するほど凄まじい問題を起こす存在です。数分のブラッシング時間で、口腔内を良い状態で保とうとする日常生活では、口腔内の問題から守ることすらできません。

医療は、呼吸と嚥下機能という命に関わる機能の問題においての口腔内のコントロールには、全く対応できていません。つまり予防の原点の口腔内管理は、家庭が主体で行うことが大切なのです。ブラッシングを教育としてしっかりと知ることが必要です。

人間は厄介なことに、肺と、食道が同じ場所に開口しています。それが喉で、複雑な声を出すことができる器官です。その上で、食べ物を丸呑みするのではなく、舌と口の中をしっかりと動かし、その筋群で噛んで唾液と混ぜ、顔の全ての筋肉を使って噛んで粉砕し、刺激唾液という最大の酵素を作り出し、どんな食べ物も消化する最初の酵素と混ぜて食べ味わうという、他の動物にはない機能を持っています。
逆にこの機能が、生命力旺盛な、非常に長期に生きられ、エネルギッシュに何でも食べられるという人類を発展させていきました。口は言葉というコミュニケーションツールであり、生命の源であり、人間という知恵と、行動でどんな食物も食することができるようになっていったのです。

糖を日常で食べられるのは哺乳類の中でも人間だけです。他の哺乳類に糖を与え続けると、数週間で吐血して死にます。だからペットフードで育てられたペットは、人間と同じように自然界には存在しない病気にかかるのです。
最近では、ペットフードで育てられた猫が子どもを作ると、生まれながらに潰瘍性大腸炎を起こすことが多くなったと報告されています。人間の歴史の中で作り上げた保存食である糖質は、カロリーにはなるのですが、結果として口腔内には育つはずのない異常な細菌叢を作ってしまったのです。

細菌叢は、赤染めという方法で確認できます。赤染めで濃く染まった場所は大量の細菌の塊です。赤染め後にブラッシングして色が落とせたと鏡などで確認しても、必ずもう1回赤染めを行う。そして濃い部分が残っていたらまたブラッシングをし、取れたと確認しても、もう1度染め出す……というように、濃い色が全く残らなくなるまで繰り返す方法です。
歯磨きを行う前に、まずは少量の水で5分間ブクブクをして、口腔内を酸性の状態から中和します。中和してからブラッシングを行わないと、逆に歯を悪くしてしまいます。口を閉じて、ほっぺを上、下、右、左と膨らませて水がもれない状態でブクブクを5分行うと鼻呼吸のトレーニングにもなります。2歳までにブクブクが少量の水で5分間行えることは、鼻呼吸しているかどうかの最初の判断であり、5分程度で口が使われるようなら、口の機能をしっかりと使っていないことになります。

【写真1】
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それから赤染めを行います。
赤色だけの赤染め液では、この程度ですが、赤、紫のダブルの色のタイプなら、しっかりと目に見えるほど堆積しているプラーク(菌塊)を見ることができます。【写真1】

【写真2】
【写真2】

基本的に乳歯は空隙歯列なので、2歳でこの程度(前歯1本分以上)空いていれば、正常に脳が発達していることになります。今や2歳児で、このような空隙歯列は、1万人に1人とも言われています。4歳で、上顎で12ミリ程度、下顎で7ミリ程度の空隙を合算した値になっていれば正常に永久歯を迎えられるのですが、このような4歳児はほとんどゼロに近いと言われます。
つまりしっかりと歯ブラシだけで1時間程度磨けるのは、乳歯では空隙歯列でないと無理なのです。歯の間がくっついている場合には、ワンタフト、綿棒、そして歯の間は毎回のフロスの必要があります。【写真2】

【写真3】
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5歳で、このように歯の間が殆どない子どもは、ブラッシングや、いくら磨いてもきれいにならないというタイプになります。【写真3】

口を最大に開き喉が見えないのは、睡眠時無呼吸症候群に代表される呼吸の問題、そして誤嚥を起こす嚥下機能の問題ではタングスラスト(乳児嚥下)、頚椎の問題ではストレートネックやお腹ぽっこりの状態です。免疫力の弱った状態はワルダイエル咽頭輪の問題があります。赤染めすると多くのプラークが見られる状態です。口呼吸をしている場合は、ブラッシングをいくら行なっても、動物の「24 時間ブラッシング」の舌の動きが阻害されていて、口腔乾燥症になっている状態です。唾液が多く出ているのではなく、一日2.5リットル近く出る唾液を自然と飲み込むことができず、よだれとなっている状態なのです。

【写真4】
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そのために、噛んで食べることはできず、噛まないで飲み込んでしまう――つまり老化です。老人の口の中はプラークがたっぷりで、歯が当たってしまい、常に歯牙接触癖(TCH)という状態になります。そして、細菌と歯が当たる力で歯がなくなってしまうのです。歯がなくなっても、口腔内のプラークはヌメヌメ唾液の中に大量の細菌を作り出しています。【写真4】

【写真5】
【写真5】

喉がしっかりと見える子ども達は、しっかり噛むものを食べさせ、その後に口をブクブク5分間。口を閉じ舌で口腔内を触れてもらい、つるつるしている状態なら、赤染めをし、口の中をしっかりと広げるようにマルケンブラッシング(※参考動画)をします。この時に出る唾液を使い、歯ブラシの毛先が触れるだけで、歯の根元、歯と歯の間の部分以外は、簡単にきれいになります。歯と歯の間はフロス、そして歯の根元の部分は、ワンタフト、綿棒などでこの刺激唾液と言われるサラサラ唾液を塗ると、かんたんに取れてしまうのです。赤染めして濃い色がついていなければ大丈夫です。【写真5】

歯磨きは、歯が生える前から行わない限り、習慣づけは難しいものです。勉強と同じで、赤染めして確認する。赤染めを繰り返す方法でブラッシング時間を決め、生活習慣の呼吸、嚥下機能、咀嚼機能がうまくできているのか、家族で確かめる習慣がつかないと、この問題は全く解決できません。
未来歯科が、親と一緒に行なってもらっているのは、食生活、運動習慣、そして口腔内細菌に対しての知識で、日常生活の状態を家族で健康を確かめる習慣を作り上げてもらうためなのです。
ブラッシングは、2時間細菌感染を起こさないための確実なホームケアです。しっかりと学びましょう。子どもの問題ではなく、親の知識と行動の問題です。息、食、動、想、環境からブラッシングを見直すことが必要です。

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
『かわべ式 子育てスイッチ ~生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣』(エッセンシャル出版社)好評発売中。

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