保育園運営のヒント

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第21回 歯磨きを嫌がる子への対処方法、どんな歯ブラシ・歯磨き粉を選ぶのが良いの?〈前編〉

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第21回 歯磨きを嫌がる子への対処方法、どんな歯ブラシ・歯磨き粉を選ぶのが良いの?〈前編〉

2021.10.15

今回のこの質問ですが、歯磨きの問題に対して、日本という社会も教育も医療もあまりにも無知だということがわかります。これは親や、治療を行なっている歯科医師、歯科衛生士などの専門職、保育園、幼稚園、学校でも、歯磨きのことを全く理解していないために起こる問題です。

歯磨きが好きな動物は存在しない、つまり歯磨きの好きな子どもは存在しません。歯磨きが好きだという子も、実はきちんとブラッシングができていないのです。そして、ブラッシングがきちんとできている大人も日本人ではほとんど存在しないのです。歯磨き剤は、ただの気休めに過ぎません。

虫歯、歯周病を起こす炎症には必ず、口腔内細菌の問題が関わっています。それどころか、呼吸と嚥下機能からくる睡眠障害にも関わっているのです。

歯磨きは完璧にできていれば、病気にはほとんどかからないほどの良い生活習慣となります。基本は体液循環を全身から良くすること。そして舌、頬粘膜、鼻の筋肉、目の筋肉、そして口の筋肉の機能をしっかり使い、呼吸と咀嚼、嚥下機能を整え、その日常生活で足りない細菌のコントロールを歯ブラシで行うことです。

野生の動物は歯磨きが必要ありませんが、人間に飼われた野生動物(動物園の動物)は、歯磨きもクリーニングも必要になります。つまり人間に飼われると、虫歯も歯周病も起こるということなのです。この問題は、人間だけが自然ではなく加工した食べ物ばかりを食べる、元の食とはかけ離れた生活をしているから起こるのです。

現代食である糖質(お粥、ご飯なども含む)を含む食事は、細菌(カビ口腔内と腸では、カンジダ・アルビカンスとその中で増殖する多種多様な細菌の量と質、スピロヘータ、アクチノマイセス、球菌など正常で480種類以上、異常が起きると800種類を超える細菌)を増殖させます。もちろん、ウイルス、胃潰瘍の原因のピロリ菌なども存在します。

歯磨きで完全に口の中をきれいにするには、歯科大学の学生でも4時間半以上はかかるというデータが1980年代に出ています。しかも、きれいに磨けた後でも、現代食を食べ唾液の状態が悪いと、数分間でペリクルという蛋白膜が形成され、その上に細菌が72 時間で、細菌叢(さいきんそう)というコロニーを作り上げてしまいます。

人間は本来、口の中をしっかりと使っていれば舌が勝手に歯をきれいにしてくれる「24時間ブラッシング」ともいえる歯ブラシ機能を有しています。しかし、その舌をもってしても、細かくした食べ物、糖質はきれいにできないのです。

また、大きなものをしっかりと噛んで舌と頬粘膜の筋群で食べるという咀嚼の回数が減るという問題も出てきます。

1食3000回以上噛んでいた時代は、食前食後に5分程度のブラッシングをすれば、ある程度は口の中はきれいになったのですが、1食1800回になった昭和33年以降は、虫歯も、歯並びも、顎の問題も姿勢の問題も70%に起こるようになってしまいました。平成の時代になると、1食の咀嚼回数は400回~800回にまで減っています。高齢出産なども増加し、子ども達は弱い状態で生まれることも多く、歯並びや視力、姿勢、態度、口腔内の問題も一気に悪くなりました。

100度染めという赤染めを何度も行う方法で口腔内を確かめると、数時間でも細菌のコントロールはできない状態になり、唾液も完全なヌメヌメ唾液になっています。唾液は血液から作られるので、つまり血液の状態も悪くなっているのです。血液の浄化を行う上でも、正しいブラッシングと、単に歯を磨くのではなく、口腔機能を向上させるためにブラッシングを行うという新しい方法を学んでいただきたいのです。

何のために歯磨きをするのか? ただ歯の表面の食べかすを取るためにするのか、それとも健康のために、目に見えない細菌をコントロールして、病気にならない人生を送るための生活習慣として、正しい「24時間ブラッシング」を取り入れるのか? よく考えてください。

【写真1】しっかり家で磨いてもらい、歯だけ赤染めしてブクブクしてもらったあとの8歳の歯並びの比較的良い子どもの赤染めの状態。
【写真1】しっかり家で磨いてもらい、歯だけ赤染めしてブクブクしてもらったあとの8歳の歯並びの比較的良い子どもの赤染めの状態。

食事の前によく口の中を少量の水で5分間ブクブクしてから、赤染めをするのが原則で、【写真1】状態です。1ミリ四方で口腔内の細菌は、うんちの10億倍と 言われる細菌叢が存在します。この状態で食事をすれば、食後3分位で細菌が倍に増殖します。濃く紫がかっている赤は、72時間以上全くとれていない熟成プラーク。最近では、プラークは心臓に入り込むため歯科用語ではなく、医科用語でバイオフィルムとも言われます。

心疾患の原因、腎疾患の原因につながるカンジダ・アルビカンスというカビの存在が、このような大量の細菌を取り込み、間違った歯ブラシ教育による体の病的な状態を作り上げてしまっています。がんも脳血管障害も、誤嚥性肺炎も、睡眠時無呼吸にも、この細菌叢が関係することは明らかになっています。

1990年代後半に世界の歯科大学の学生が行なった実験で、赤染めの濃く残る部分がある場合、ブラッシングし、きれいに落とせたら再度大量の赤染め液で染め出し、また濃く残る部分があったら、再度きれいに取れたらまた赤染めを繰り返すという、100度染めという方法がありますが、ほぼ赤染めがなくなるまで平均4時間半以d上かかります。濃い色の赤染めが全く残らないまでに磨いたという研究結果はありません。それほどまで、難しい歯ブラシです。正しい指導を受けましょう。

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
『かわべ式 子育てスイッチ ~生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣』(エッセンシャル出版社)好評発売中。

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