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教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第16回 読者からの質問にお答えします! いつも割座で座るのは横抱きをしているせい?(前編)

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第17回 読者からの質問にお答えします! いつも割座で座るのは横抱きをしているせい?(前編)

2020.10.15

9か月の子。座り方がいつも割座です。ずっとスリングで横抱きをしていますが関係ありますか?(しっぽさん)

拙著『子育てスイッチ』という本にも掲載しましたが、息食動想環という5つの方向性からこの問題を考えてみてください。

  • 呼吸(鼻呼吸、口を閉じて大の字で寝られるなど、睡眠)
  • 食(食べ物の大きさ、食べ方、食べる姿勢、道具の使い方、呼吸の成長に合わせて変わる)
  • 動(行動パターンの変化、成長発達、癖、人間はパターンの動物細胞の成長の方向性)
  • 想(子どもの場合には、親の考え方、知識、教育)
  • 環(環境によって息食動想は変わる。心理学ではアフォーダンスという概念)

9か月で、スリング、抱っこひもで抱くということで問題が生じています。もう自由にハイハイ、つたい歩きをすると言われる時期です。この時期には多い子だと5時間は歩き回ります。抱っこはその行動を止めてしまいます。基本は、起きている間は15分以上同じ姿勢を取らせないこと。夜は夜泣きもなく、大の字で寝られること(この最初が生後数日で決まってきます)。

親が子どもの成長について正しく知ることが大切です。まず、鼻での呼吸が確立できているかどうか。9か月ともなれば、しっかりと動き回っていて、1日数時間はつたい歩きをしたり、おしりを上げて歩き始める、高ばいの時期に来ています。そして、手で掴んで自分で食べると言う人間ながらの手と足の発達が行われている状態の時です。
また、大きな口を開けて息を吐くことで声になり始め、早い子だと3か月から6か月で人間としての喉ができるので、6か月では歯が生えなくとも、顎で噛んで食べるようになってきています。離乳食は無いということを理解してください。
この時期の嚥下、消化、吸収、排泄のメカニズムの変換を知っていると、今の行動パターンが、1日2~5時間程度動き回り、お腹が減って食べ物を食べにいくようになるという、生後6か月の赤ちゃんの行動パターンから外れていることがわかります。

赤ちゃんの行動発達

生後3か月までは、子どもが自分で自由に動くことで機能を作り上げ、関節を作り上げます。そして人間としての四肢の行動パターン、特に目線と手の行動で、口という存在を作り上げるという時期が6か月です。この時期に食べ物と飲み物を分け、最近では、「BLW(Baby Led(赤ちゃんに任せる、自ら行う)Weaning(離乳)赤ちゃんが食べたいものを自分で食べる離乳食という概念ではない食)」という発達の障害を起こさない食の概念として、世界中の支持が集まっています。つまり発達の障害の多くが、生後の子育ての概念の問題にあるとわかってきました。
抱かない、できるだけ行動させる、親が見守るという育て方も定着しつつあります。もちろん添い寝、添い乳なども子どもの成長、発達を遅らせて、将来の食の異常、行動、脳、そして睡眠の障害を起こす原因にもなっていることがわかってきています。
抱っこひもでの移動は、少なくとも生後3か月程度までとして、それまでの時間もできる限り、抱く時間は少なくする、起きている間は体勢を変えるという、親子の座り病対策を行うのが今は正常な考え方です。

食べ物が悪くて健康な人はいるが、呼吸が悪くて健康な人はいない。つまり呼吸が悪い人は病気になるという概念は、健康医学の祖と言われるアンドリューワイルが述べています。
子どもの成長・発達は親が考えるほど遅くなく、脳の発達ということから考え、呼吸の発達という最も人間としての他の哺乳類と大きく違う呼吸の変換が、生後2か月半から3か月にあり、脳内ネットワークも生後3か月で一気に変わり始めるという知識があれば、今の時期からでも、できる限り動き、抱かないこと、泣くことも、鳴く(言葉に変わる)行動パターンもあるということで、大きな口で、お腹をへこませるように泣くまで待つことも必要になってきます。そして6か月を過ぎているので、断乳ではなく、おっぱいは搾乳器で吸ってコップで飲ませます。おっぱいを人間の栄養素として、飲むという食べ物を食べられる姿勢で飲ませる必要があります。6か月を過ぎてしまうと、人間の食べる姿勢で、飲み物を与えるようにしないと噛んで食べることができない子どもに成長してしまいます。

ヒトは原則として、2本足で顎を引いて目線を上げて(ストレートネックでない限り)、上体を前方にして歩くという顔の形、眼、鼻、耳、口が整っているのです。哺乳類の視野角は320度くらい、人間は最大220度くらいですが、視野角が160度くらいになるとヒトは心の問題まで生じると言われます。90度くらいに近づくと認知症という、周りを理解できなくなる状態になります。認知症を理解するVRで経験すると、たった1段の階段が100mくらい先にあるように見えるので怖いのです。視野を広げてあげるのも、行動パターンを変えるには必要になってきます。

そのために、0か月から1歳くらいまでには、認知症のトレーニングとして必要な手法、ユマニチュードという概念を利用し、安全、危険、という認識を行動でさせてあげるベビーファーストとも言える行動パターンをさせてあげます。
まずは親を認識させる、アイコンタクト。人間にしか無い、黒目と白目の違い、黒目と黒目が合うことからコミュニケーションが始まります。親を認識させるのです。アイコンタクトができない状態で、話したり、声をかけたりするのではなく、普通の状態で、コミュニケーションを作り上げるために、まずアイコンタクト、そして視野を確かめます。次に口を大きく開けて、声をかけます。丸く大きな黒いものを口だと判断します。これが実際には生後2時間程度で始まると言われる20 cm近くでの親の認識です。このアイコンタクトが最初、次に大きな口元で声、そして反応したら触れるという動作を親が行うことで、認識を始めます。そのときに必ず顎を引いて目線を上げて(ストレートネックでない限り)、下に向かせず、上です。
目線と、口を大きく開くということで、声を発する準備の段階の泣くという仕草が、言葉に変わる「鳴く」という動作に変わるのです。この言葉への目と、口の行動パターンは、生後3か月から8か月までが最も成長します。6か月くらいの歯が生えてくるという段階で、耳と口をつなげる耳管が大きく発達するため、大きくあくびをすると耳が聞こえやすくなったりするのと同じように、大きな口で、話す(喃語)、鳴く、泣く、歯が生えるための口の中のボリュームを作り出すのが、このときの目と、口の筋肉の状態です。そうして鼻をしっかり使うようになり、8か月くらいで完全に高音部だけでなく、低音部までの音域が聞こえるようになるのです。
耳管が狭いということは、喉ができていないために、人間だけができる、噛んで唾液と混ぜて飲み込むという成人嚥下と言われる機能でものを食べられる、自分でとってくるという動作ができていないことになります。通常は喉と耳管が発達していない状態で食べ物を食べると誤嚥をする姿勢になり、良い姿勢で行動や座ろうとすると、気道が狭くなって、呼吸と嚥下がしづらくなるために、顎を上げて後方に倒れる状態になるのです。

問題は、子どもが人間として成長する時期に、遊ぶ場所も、他の子ども達も一緒に走り回れる自然もない檻のような環境で親が子育てをし、何かあったら抱いてしまうという現代の住宅事情、泣いたら泣き止ませてしまう、だから泣いたら抱かれるというパターンを認識させて、食べ物もスプーンで与え飲み込むだけという、刺激時唾液という人間が持つ最高の消化酵素すら出せない状態にあるのです。

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
『かわべ式 子育てスイッチ ~生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣』(エッセンシャル出版社)好評発売中。

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