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教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第16回 読者からの質問にお答えします! どのように噛む練習をすればよい?(後編)

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第16回 読者からの質問にお答えします! どのように噛む練習をすればよい?(後編)

2020.7.15

10か月で三回食+ミルクの子。食べ物を丸呑みしています。どのように噛む練習をするのがよいでしょうか?(うえだっくさん)
【図1】

喉が見えない子どもは、内臓の位置異常や、消化機能の喉という特殊な形状が機能しないのです。噛んで食べることを行わないので、最も大事な消化酵素としての唾液を使う時間がほとんどなく、自然流嚥と言われる、飲み物を飲んだり、口の中を常に潤す潤滑剤としての抗菌力が低い唾液しか使わないため、免疫力も働かなくなります。【図1】

逆に大きな食べ物を与えてきた子ども達は、口を大きく開くという行動パターンで、唇、舌、そして口蓋までしっかりと動かしますから、刺激時唾液という非常に抗菌力、免疫力を向上させる唾液が上顎の奥歯の頬側から出てきます。
この唾液は、素晴らしい能力を持っていますが、刺激がないとほとんど出てくることはありません。おっぱいを飲む時、下唇に乳首が触れると、自然と口を最大に開くのが生後すぐの原始反射。口を大きく開きおっぱいを乳輪まで入れ、顎と舌でしごいて喉の奥まで乳首を入れると初めておっぱいが出る角度に乳首が無いと、その後の咀嚼し粉砕して唾液と混ぜて嚥下するという成人嚥下という人間独自の機能は獲得できないのです。

【図2】

つまり口と体と四肢の最大の機能をしっかり使うという行動パターンをさせなかったためにその後の成長や発達が遅れ、成長ではなくフレイルという老化現象が起こっているということです。食べ物を成人嚥下ができる喉に作り上げるために、人間の喉は他の動物と同じような赤ちゃんの喉とは異なり、気道が口の奥で開いているのです。ですから息を吐くことで複雑な声を出すようにできています。【図2】
他の動物は、息を鼻からしか吐けませんので口を大きく開けてスピーカーの代わりにして鼻から息を吐いて、声を出します。なので、複雑な声が出ません。赤ちゃんも同じです。
この喉の進化は、現代人のような、切る、砕く、調理するというような加工した食べ物を食べられるようになった人間が、噛んで咀嚼して、唾液と混ぜて、食道以降の消化機能と酵素で、分解できて体に良いものに変えていくという最大の消化機能を口に与えたのです。

現代病のすべては、この機能が働かなくなり、悪くなったものは治せない、切り取るか、人工呼吸器をいれるしか無いという医療の常識が、人間の機能を全てフレイルさせてしまったのです。つまり生活習慣病という病気です。以前は成人病と言われていましたが、子どもにも蔓延し、生活習慣病という名称になっただけです。

【図3】

食べ物を食べるという機能は非常に複雑で、【図3】では前歯が当たっているように描かれていますが、実際は、上下の歯は食事でも、発音でも、発声でも、寝ている間も強く接触することも、当たることもありません。
もし上下の歯が当たってしまう状態がトータルで5分以上毎日あったとすると、頭痛や、脳に関連する体の機能に対してセーブがかかり、様ざまな関節の可動域が悪くなります。歯並びが悪くなるのは、舌が歯の上に乗ってしまうという「タングスラスト」という乳児嚥下特有の飲み込み方にあるのです。

老人が、寝たきりになる時に歯が無いのでこの飲み込み方をするので、以前は老人嚥下と言われていましたが、乳児嚥下と統一されました。歯が当たりそうになると、上下の歯を離すという口の中の動作を咀嚼と言います。人間は、唇を閉じて舌で様ざまな場所に選り分けて唾液と混ぜることで飲み込めるかを、歯のセンサーと舌の運動機能のセンサーで喉に送り込み、鼻を閉じて気道を閉じて食道を広くという動作を脳で作り上げ、その動作はたった0.1秒から0.01秒で行います。ただ、使っていないと、この機能はたった2週間で使い物にならなくなります。声を出した時や大きく口を開いて泣いた時に、老人ならしゃがれ声、赤ちゃんならギャーギャー声、少し大きくなるとキンキン声という特殊な声を出すことで、判断ができます。つまり喉は人間が人間としてコミュニケーションを作り上げるために文明を作り上げてきた事実と、そして、調理をしたり、加工した食べ物で体を作っていくことができるようにした最高の機能なのですが、反面で、うまく使われないとほとんどの病気を作る呼吸の問題まで起こすような悪い方の機能も持ち合わせているのです。

この問題は、日本では現代人の98%近くに起こっている睡眠時無呼吸症候群も同じ原因で、親の問題の解決が、子どもの問題の解決になるのです。
現代生活のすべてが便利になり、食べ物も、食べ方も、すでに私の子どもの頃には存在しなかったものばかりになりました。
子どもと一緒にいる親のほとんどは、大きな食べ物を食べる時に口を大きく開け、唇で噛むように噛み付き、唇を閉じたまま上下の顎をしっかりと動かし、歯が当たる前に歯を外し適当な大きさまで舌と顎で小さくし、舌で飲み込むという一連の動作ができません。そのため、喉ができていない無呼吸症候群の体型になっています。椅子の背もたれに持たれて足を投げ出している姿勢をしている人は、ほとんどがお腹ポッコリ、喉に問題がある、現代食を食べている大人になっています。
食べ物が食べられないというのは、口の問題だけでなく、四肢の発達、脳の発達、呼吸と嚥下の機能の発達の問題です。
この問題が多くの人は2歳までに傍から見てもわかるほどになり、5歳児では7割近く、小学校に上がり4年生になると、ほとんどの子どもは、目、鼻、口の問題が起こり、中学2年生では、ほぼ全員に問題が起こってきます。

大人の社会にも蔓延する多くの病気は、呼吸の問題はもはや解決できないということを前提に治療が始まります。
解決策は、親が食事に対しての概念をしっかりと学ぶことです。前歯しかないのにどうしてお粥を与えるのでしょうか。カロリーだけで、唾液とは混ざらないから、日本病を招く体質になってしまいます。
噛む、食べるということについての知識を持たないと、今の大人の問題、子ども達の問題を大きくしてしまう保育しかされなくなります。親が、呼吸、嚥下のトレーニングと、子どもと一緒に毎月成長、発達する機能をトレーニングしていくことが必要です。そのトレーニングができたら次のトレーニングに移行します。
親が元気で、呼吸法、食べ物の大きさ、食べ物のことを学び、一緒に成長することが重要です。
夫婦の仲が良く、ふたりとも元気で健康であるようにトレーニングすると、子どもの成長も順調になります。

呼吸法として最適なのは、横隔膜呼吸を推奨するピラティス。他には呼吸筋体操、歩き方、座り方、寝方などを学び、現在の生活習慣を良くしていくことが大切です。
抱くと反ってくるというのは、乳児嚥下のままで成長してしまったことを言いますので、 噛む練習ではなく、

喉をつまらせる姿勢を取らせないようにして、 大きな食べ物の大きさのシリコン製の噛む練習器具等を手に掴ませます。
口を大きく開け、手に掴んだものを口にしっかりと持っていけるかどうかを確かめます。
それからその大きさの人参、大根などを手に持たせ、口に持っていけるなら、手づかみ食べの本にあるような、野菜の大きな水煮を与えます。これは歯が生える前の生後3か月から6か月までに行うトレーニングになります。

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー等も精力的に行なっている。
『かわべ式 子育てスイッチ ~生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣』(エッセンシャル出版社)好評発売中。

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