保育園運営のヒント

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第15回 読者からの質問にお答えします! どのように噛む練習をすればよい?(前編)

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第15回 読者からの質問にお答えします! どのように噛む練習をすればよい?(前編)

2020.4.15

10か月で三回食+ミルクの子。食べ物を丸呑みしています。どのように噛む練習をするのがよいでしょうか?(うえだっくさん)

この問題は、今までの10か月のすべてを変えていくことが対処法になります。
息、食、動、想、環という順番ですべての現状を把握して、親子関係を診ていきましょう。まず、10か月ということで、通常の発達であれば食事と飲み物を分けた食べ方ができていないと、飲み込み方が混在していることになります。飲み込み方には成人嚥下と、乳児嚥下という2つの方法があります。
上体を起こし、大きなものを口にしっかり入れられるかの行動パターンはもちろんですが、水・ミルクはコップで飲み、食べ物と飲み物は、異なる嚥下の機能と異なることを成人嚥下と言います。一方、乳児嚥下は食べ物を飲み物と一緒にとって流し込みます。お子さんは、発達の最初に変えないといけない嚥下機能と、呼吸機能が混ざってしまった食べ方をしているのです。

保育園では、スプーンで離乳食を与えられるので、咬筋、側頭筋での飲み込みだけが行われる場所に食べ物が投げ込まれます。そのため成人嚥下になれず、呼吸も鼻呼吸ができなくなる口呼吸という姿勢をとっているため、この問題が起きます。子どもが寝ている時にごろごろしたり、夜泣き、横を向いて寝る場合には睡眠障害としての呼吸、嚥下の問題が起きています。食べ物と飲み物を混在しないことも、この時期には大事です。そして何より、どうして食べられないかを呼吸と嚥下の機能から理解する必要があるのです。すると今後すべての無呼吸症候群としての心と身体の問題が理解できるようになります。

未来歯科では、すべての子どもと親に数年間このトレーニングを行い、家族全員が呼吸、嚥下機能、行動パターン、今までの世の中の子育ての概念を捨て素直に自分達の姿を見てもらう、そして環境、夫婦の状態を良くしていくことが重要だと教えます。
今の子ども達は、体の機能ばかりでなく心の機能も凄まじく衰えています。中学2年生ではほとんどの子どもの視力は低下し、3年生になると失明する子どもまでいる現状です。歯並びも鼻もすべて、機能していない成長をしているということなのです。
そんな中での10か月の問題だと捉えてください。これは、大人の社会にも、子どもの世界にも蔓延している問題、発達の問題です。
これほど情報が溢れているのに、その場限りの情報に過ぎないのです。10年20年と成長を診てきて良くなったという情報はいまだかつてありません。

私は昭和59年から徐々にこの問題のルーツを探り始め、今から20年以上前に、この問題のルーツは子育ての問題があまりにも真髄に達していないからだということに気づきました。世界初の試みでしたが、すべての口腔の問題も、病気の問題も生後数週間で始まっている脳の成長を知れば当然だということから始まり、大人も子どもも成長と発達を口腔という単位で全身と結びつけ姿勢咬合を行なってきた私には、この問題の解決法がドンドン出てきました。
そしてこのすべてが、今日本に起こっている人間の問題でもあるのです。解決法は、親達に未来を伝え、これからを知り、実行させることです。すべては親の問題と捉えてこの話を見てください。
子どもの教育ではなく親の教育から行わないと、すべての現代人が現代病という病気になるでしょう。1990年代、全く解決できないとされてきた呼吸と嚥下の問題は、すべての始まりがわかっていなかったため解決策がなく、治療としてのオペ、もしくは呼吸補助器具でないと防ぎようがない現代病とまで言われるようになりました。

【図1】

【図1】は、生後3か月の首が据わる時期まで、呼吸と飲み込みの機能は立体交差になっていることを示しています。口を最大に開いた状態で、おっぱいで目一杯塞いで、おっぱいを顎と舌でしごいて、蠕動(ぜんどう)運動するようにおっぱいを飲みながら、同時に鼻から呼吸もできます。この時期に、しっかりと鼻での呼吸をさせて、同時におっぱいを飲むという習慣をつけると、唇を閉じて、鼻でしっかりと呼吸ができるようになります。口腔内ボリュームと言う、歯が上下に当たらない状態で唇を閉じることができ、舌がしっかりと上顎までを閉鎖して、鼻での呼吸を寝ている間もできるという人間独自の特殊な機能があるのですが、浅飲みでおっぱいの与え方をした赤ちゃんは、顎を上げて、水やおっぱいを飲む姿勢と機能で、食べ物を噛まないで飲み込みます。
つまり、乳児嚥下と言われる生後3か月で、深飲みという状態の前傾姿勢にならないと、噛んで飲み込むという人間だけにできる特殊な行動パターンとしての機能はできなくなってしまうのです。【図2】

【図2】

生後6か月になるとなぜ食事に変えていくのかというと、生後2か月半くらいから始まるハイハイが高速なハイハイとなり、日常生活の中で、自分で移動機能ができるようになるのが生後6か月だからです。この時に喉が作られ、飲み込みができるようになります。口を大きく開けて泣く子どもはしっかりと喉ができているので、歯が無くとも食べ物を噛んで食べるという動作を行います。

【図3】

成人嚥下は、深飲みから四肢の発達と、捕食のトレーニングで獲得した特殊な咀嚼機能です。大きく口を開いて泣いた時に喉が【図3】のⅠなら正常な機能を果たす喉になっているので大きな食べ物を噛んで飲み込むことができます。
しかし、生後6か月でも【図3】のⅣのような喉が見えていない子どもは、抱くと体を反るという呼吸の異常を招いている状態ですから、食べ物を食べるのは到底無理になり、乳児嚥下という、老人が寝たきりでとろみ食を食べるような喉しかできていない状態になります。噛んで食べるという機能は、発音の問題、口腔内のマッサージ、喉のトレーニング、姿勢のトレーニングが同時に必要となりますが、残念ながら保育園でも同様にスプーンで喉に流し込むので、飲み物として感知し、柔らかいものや調理したものだと全部噛まずに飲み込んでしまう、その飲み込み方しかできません。

唇からかじって噛んで粉砕して唾液と混ぜると、唾液の抗菌力、酵素のためにガンになる要素がほとんどなくなってしまうというメカニズムがあります。調理したものを口の奥にスプーンで与えてしまうと、消化不良どころでなく、排泄機能、細胞の新陳代謝すらなくしてしまうことになります。【写真1】

(次回に続く)

【写真1】

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー等も精力的に行なっている。

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