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教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第7回 離乳食の進め方はどうしたらいい?(1)

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第7回 離乳食の進め方はどうしたらいい?(1)

2018.4.16

今回は離乳食についてのご質問です。皆さん離乳食という言葉に騙されています。この意味を考えてからこの問題に取り組んでみましょう。
「乳」という総合栄養食から「離れる」と書いたのが離乳食です。つまり、飲み物で過ごしてきた姿勢から、自分で 捕って食べるという姿勢へと変えることを意味します。
離乳食は食べさせるのではなく、食べに行くという姿勢を自ら作り出すことが大事です。食は与えるのではなく、獲得するものだと理解してください。

生後3か月まで人間は、呼吸と飲み込みの喉の形状が動物と同様に声が出せない状態になっていますが、生後3か月ころからは、乳児嚥下から成人嚥下へと移行して言葉が話せる喉に成長していきます。そのために、顎を上げて奥に食べ物を入れられるというおっぱいの姿勢から、上体を前傾して食べに行くという姿勢へと変化します。

呼吸の異常と飲み込みの異常の軟口蓋と扁桃との関係
発音のトレーニングで、呼吸と飲み込みの状態がよくなった軟口蓋の位置と、扁桃との関係

この姿勢が作れないことを発達異常と言い、食べ物を噛んで飲み込むどころか、便秘・下痢などの消化不良の状態を作ってしまう内臓の位置関係になります。口腔は低位舌、嘔吐反射、上咽頭の炎症により口蓋が低位となり、呼吸、嚥下の異常として、顎を上げて、舌を出すという乳児嚥下や舌突出癖※になります。抱くと体をぐにゃりと反る状態の場合、嚥下の異常で将来食事がしにくい状態になることと、自律神経の問題が生じる可能性があると考えられます。

※ 安静時、嚥下時(食べ物、飲み物を飲みこむ時)などに、正常ではない舌の動かし方をする癖。

このように、顎と舌でうまく食べられる姿勢ができていることが離乳食開始の条件となります。それは概ね生後6か月で歯が生えていなくとも食べ物を眼で認識し、手で取って、大きく口を開いて、食べて、噛んで、飲み込むという動作ができれば大丈夫ということです。

離乳食の知識で必要なことは、最初に植物性のタンパク質と繊維質の水を摂取するということです。繊維質の水とは、水分を多く含んだ野菜です。人間は二本足で立ち、声を出してコミュニケーションを図り、知識で身を守る哺乳類です。哺乳類は、歯が生えたら、おっぱいから自立します。生きるために必要な量と質を食べるのが哺乳類の特徴です。食べ過ぎると、消化、吸収、排泄がうまくできないことが遺伝子に焼き付いており、成長に必要な量だけを摂取するようになっているのです。

食べないからと最初にでんぷん質のおかゆなどを与えることは、糖化を早期に起こす体になってしまいアレルギー体質になりやすくなります。
しっかりと噛んで唾液と混ぜて胃に流し込むという消化のメカニズムができ上がってくるまでは、乳と同時に食としての豆腐、ひきわり納豆などの植物性タンパク質(豆類は除く)を摘んで食べにくるようにトレーニングします。【図1】

【図1】離乳食を食べる姿勢

捕食としては、生後3か月から6か月くらいまでは、人参、セロリなどの大きな食べ物を食べるというよりは、手で取って口に運ぶというトレーニングをします。6か月くらいになると、手で潰せる固さに煮た野菜を、つかんで口に入れて食べるようになります。手づかみ食いの始まりです。

8か月程度になりハイハイができるようになると、食も変わってきます。噛んで飲み込める子どもで、繊維質の食べ物をよく食べている赤ちゃんの便は水に浮きます。もちろん、酵素がまだあるわけではなく、形と色がそのまま出てくることもありますが、徐々に形をなさなくなり、腸でこなれてきます。歯も生え始め、前歯でかじるようになってきます。徐々に様ざまな野菜を食べさせて、水としての野菜を摂り、排泄をしっかりと見てください。
この時期に腹ばいになって手と足を浮かせ、お腹を床につく姿勢をとっている場合、嚥下に問題があり、誤嚥と呑気症という食べる時にお腹に空気を入れてしまう食べ方をしていることになります。前傾の姿勢で噛んで飲み込めていることを確認してください。

離乳食を噛んで飲み込みもうまくできるようになってきたら(だいたい生後10か月くらい)、繊維質ででんぷんも多い、じゃがいも、さつまいもなどを茹でて食べさせます。
動物性のタンパク質は、鶏のささ身、豚の赤身なども食べられるようになります。必ず火を通したものを与えましょう。火が確実に通っていない半熟卵などを与えないよう気を付けてください。

(次回に続く)

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(25年続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー等も精力的に行なっている。

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