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教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第6回 抱き方・接し方はどうしたらいい?

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第6回 抱き方・接し方はどうしたらいい?

2018.1.15

今回頂いたテーマは「抱き方・接し方はどうしたらいい?」です。
抱き方・接し方は、年齢・成長に合わせた子ども達との接点の最も大きな問題点なのかもしれません。全てに共通するのは、親の行動と子ども自身がそのものを作り上げるということです。抱き方・接し方は、子どもの問題ではなく、親自身の成長に対しての知識の問題の提議でもあります。

「成長に合わせて抱き方も変わり、接し方も変わる」ということまでは、多くの親はわかっているのですが、実際には子どもの成長に合わせてどのように接していいのかわからず、専門家のアドバイスを毎回受けられるわけでもありません。専門家も、0歳から子ども達の成長を成人まで診てきたことがないのです。ですから、理論ではわかっていても、ただ、正しく抱きましょう、優しく接しましょう、子どもの心の問題に関わりますから……と一時だけのことのみを教えられてきたのです。指しゃぶりのことを聞いても、いつかは治ります……という解答だけだったのはこのせいなのです。

子どもが泣いている、でもまだしゃべれないから理由がわからない。とりあえずおっぱいを与えると泣き止む。布団に寝かせたりバウンサーに乗せると泣くから抱っこする。抱っこすると辛いほど反ってくる。抱き方が悪いの? 抱っこひもが悪いの? Cカーブが大事って言うからとにかく丸く抱かなければ……足はM字で……でも、いつまでこんな姿勢取らせるの?
と、そんな悲鳴が聞こえてきます。

『病気の原因は、進化にあった』というテレビ番組で、赤ちゃんの喉と大人の喉の違いを解説しています。赤ちゃんは、生後3か月までは気道と食道が分かれています。
生後3か月を過ぎると、呼吸と飲み込みの機能は、大きく変わり始めます。食べ物を噛んで食べるようになる準備と、気道を確保する準備が整い始めるのです【図1~3】。
生後3か月を過ぎると、新生児の頃の様にミルクを飲みながら鼻で呼吸ができなくなってきます。そのために、ちょうど呼吸と飲み込みの問題が起こる生後2か月半から3か月の間に抱くと反っていた子ども達は誤嚥を起こすようになります。さらにそういった子どもの中で、免疫力がや感受性が高い場合にはアトピーや喘息などの呼吸器系と、飲み込みに関わる問題で症状が出始めます。

【図4】ラッチオン

呼吸と飲み込みという観点で診ると、抱き方は生後3か月までとそれ以降では違ってくるということがわかります。抱いて反ってくる赤ちゃんは、呼吸と飲み込みの問題がある口呼吸が始まっています。これは、大きく口を開いて、おっぱいを乳輪まで含んで噛むように飲むという姿勢(ラッチオン)を親が作り上げることで防げます。生後3か月までの間に、最も生命現象に関わる仕事をさせることが大事です【図4】。
浅い飲み方は、赤ちゃんの呼吸と嚥下を悪くするだけでなく、お母さんを乳腺炎などになりやすくします。そして、ラッチオンで得られるもう一つの大きな利点は、口を大きく開けて飲むことができるために、顎を大きく動かすことができる子どもに育っていくことです。

【図5】発育空隙

正しい抱き方、寝かせ方を行い、できるだけ抱き続けることをなくす方法で、子どもの成長は大きく違ってきます。
下の前歯のすき間を霊長空隙と言います。その後に口を大きく開けるまで、食べ物を食べさせるのではなく取りに行くという捕食のパターンを学習した子ども達には、霊長空隙ばかりでなく発育空隙ができ始めます。
抱き方・接し方が良いと、2歳半でこのような空隙歯列を作り上げることができます【図5】。
しかし、多くの2歳半の子どもは、噛んで食べることも大きく口を開いて食べ物を食べることもできず、口を大きく開けて発音することすらできないのです。【図6】のような閉鎖歯列と言われる乳歯の歯並びを持つ子は、乳児嚥下が残ってしまう、異常嚥下癖、口呼吸、食いしばり、などの状態が見られます。

【図6】閉鎖歯列

食においては、現在40種類以上の食品アレルギーを起こさない食事・食べ方を指導しています。奥歯が生えてくる1歳半くらいまでは排泄を考慮し消化機能を整える食事という事で、3か月から6か月は捕食のトレーニング、6か月から9か月までの間に少なくとも30品目以上を捕食できるように目指します。でんぷん質、糖質などは、乳臼歯が生えて噛めるようになったら与える様に指導します。
食べ方は体の使い方・姿勢の作り方・手の使い方を毎月指導するという試みで対処します。成長段階によって筋肉の使い方も骨格のでき方も違うので、捕食の手の使い方と手づかみの手の使い方にも違いがあるのです。

立てるようになった1歳から1歳2か月くらいで見られる立ち上がり反射は、足の指全部をしっかりパーに開いて立ち上がる時期です。人間の手の機能が発達することを意味しています。
胎児は、進化の過程をたどり、誕生という瞬間を迎えるまでに様ざまな形状をなします。機能形態説、つまり個体発生は、系統発生を繰り返すというダーウィンの法則の様に胎内で成長します。
生まれた時、人間の赤ちゃんは他の動物と違い人間の全ての機能をまだ持ち合わせていないので、成人と同じような呼吸も嚥下もできません。この立ち上がり反射を行うようになると、多くの原始反射は前頭前野部に統合され、この前頭前野部の発達とともに人間としての二本足で立ち上がることができるようになるのです。2歳半になるころには、成人と同じような機能を持ちます。ちょうど乳歯列が完成する時期に、呼吸と嚥下のメカニズムが完成するのです。

立ち上がり反射から2歳半までにできることを増やしてあげるのが親の接し方です。この時期にむやみに抱いてしまうと、多くの発達をしなくなってしまいます。そして多くのものを見せてあげること。この見せるという行為は、言葉の発達と関係していて、言葉は音から発達するのではなく、視覚から発達することを意味づけています。生後3か月から6か月の間に始まる言語機能が2歳半で確立し始めるのです。多くの人の口元の動きを見ることで言葉が発達し、使えようになるのが、この2歳半くらいです。人は、多くの人とのコミュニケーションを図りながら育つのです。

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(25年続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー等も精力的に行なっている。

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