保育園運営のヒント

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第5回 保育園・幼稚園の“食べられない・言うことを聞かない・落着きがない”子にはどんな対応をしたらいいの?

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第5回 保育園・幼稚園の“食べられない・言うことを聞かない・落着きがない”子にはどんな対応をしたらいいの?

2017.10.16

最近、どこに行っても「食べられない・言うことを聞かない・落ち着きがないという子ども達に何をしたら良いのですか」と聞かれることが多くなりました。
この問題は5歳児になるとピークになるようですが、成長したら治ると勘違いしている親御さんが多いのにはびっくりします。
実はこの3つの悩みは、同じ原因からきているのです。この問題は、100万人を超える日本病とも言われる社会現象にもなっている、引きこもりや、20代から30代の期間に10年以上働いていないなどの心の問題に繋がっています。このバックグラウンドにあるのが呼吸と飲み込みの問題や、口呼吸という大きな問題なのです。

この問題は、現代人の睡眠の大きな問題になっている、無呼吸症候群・睡眠障害とも大きく関係しています。食べられないのは、よく噛んで飲み込むという普通のパターンではなく、吸って飲み込むという逆嚥下(※1)のパターンになっているからです。
逆嚥下・逆呼吸は、通常は老人になるとなりやすく、誤嚥性肺炎を起こす飲み込みと呼吸のパターンです。よく言われる癖という言葉を「パターン」という言葉に変えることから考え方を変えてください。言葉を変えるだけで、食べられないパターン、言うことを聞かないパターン、落ち着きが無いパターンと分類ができるはずです。そして、その問題の共通点をたどっていくと、老人が誤嚥を起こすのと、生後間もない赤ちゃんが舌をペロペロと出して、おっぱいを欲しがるという原始反射と言われる生命を維持させるためのパターンが似ていることがわかります。この問題の解決方法が、すべての健康の問題の解決方法でもあるのです。

※1 逆嚥下(乳児様嚥下)とは、嘔吐する時に似た動作で、口を大きく開けて舌を突き出すような嚥下動作です。舌を前方に突き出すため、食べ物が口の外に出てしまいます。逆嚥下は最も誤嚥しやすい状態なので、習慣化させないよう注意が必要です。仰臥位で、長年にわたって無理に食物を口腔内に押し込んでいるような場合には,逆嚥下が定着する可能性が高くなると考えられます。
高齢者食事ケアQ&A。摂食・嚥下障害。より引用)
【図】乳児嚥下と成人嚥下の違い

【写真1】は20代の方で、過去に2回の矯正を行い、歯並びはその都度良くなっているのですが、すぐに写真のように悪くなってしまいます。
写真をよく見ると、上下の歯の間に舌が見えます。1日2000回以上行われる飲み込みの問題は、この舌が問題なのです。このくらいの歯並びになると、顔貌(がんぼう)の問題に、親は少なくとも3歳で気がついているはずです。顔貌が歯並びの問題からきていて、食べられない・言うことを聞かない・落ち着きがないという、呼吸と飲み込みの問題に結びつけていなかったために、後々になって歯並びの問題ととらえ、本格的な治療、原因の除去と成長という方法とは程遠い、歯列矯正の「ブレース」という器具を使って治療を行なったのです(写真2)。治療の力よりも、呼吸と飲み込みの力は数百倍の影響力があるため、器具を外せば以前のように戻るか以前よりもひどくなるという状態になってしまうのです(写真1)。

対応方法は、全年齢共通して、飲み込みと呼吸の姿勢トレーニングを家族ぐるみで行うことです。おっぱいを深飲みさせる親の姿勢から始まり、大きな食べ物をしっかりと噛んで飲み込むことができ消化排泄をしやすくする姿勢と食べ方、そして虫歯にもならない歯並びを良くする生活習慣。最高の笑顔で、毎日を過ごせる姿勢です(写真3)。
口呼吸を治していくのには、姿勢の教育は必須です。大きく口を開くことや、話をしっかりできるように大きく口を開き、大きな声で歌が歌えるトレーニングを行なったり、目・鼻・口が最もきれいに見える行動のパターンをトレーニングすることです(写真4・写真5)。

子ども達の成長は目を見張るほど早く、どんどん成長できるように家族も一緒に成長していくということが重要です。お母さんは肩こりがなくなる生活習慣、お父さんは腰痛がなくなる生活習慣などが、全てこの呼吸と飲み込みに関係する顔全体の成長と、姿勢という内臓と脊柱の成長の問題だということを理解することから始まるのです。
20歳になっても、誕生日に、20本のろうそくの火を全く吹き消すことができない人が増えているのをご存知でしょうか。1歳半くらいでは、ほとんどの親が、いつかは治ると勘違いしている、食べられない・飲み込めない・抱き癖パターン・指しゃぶり・よだれ・好き嫌い・皮膚疾患・呼吸機能の問題・排泄の問題。成長させるということは、いくつもの発達というハードルを乗り越えて発育させることです。成長するのを見守るのが親の役目です。成長によって違うパターンを獲得するという学びが必要です。
老人の誤嚥、子ども達の口ポカン・口呼吸・態度が悪い・おっぱいが飲めない・食べられないなどのパターンは、全て同じ呼吸と飲み込みのパターンの異常であり、今は親子のトレーニングで早期に獲得することが必要です。
口ポカンで車が通る排気ガスの中を15分も歩けば、タバコを数本吸ったのと同じ有害ガスを体内に入れてしまうと言われます。病気にならないはずがない。口呼吸は本当に大きな代償を支払うことになるのです。早期であれば最初は大変ですが、後々全員が楽になります。

今回は子ども達というよりも、大人達が抱えるお子さんの問題への関わり方について答えてみました。

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(25年続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー等も精力的に行なっている。

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