保育園運営のヒント

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第4回 歯ブラシと姿勢の関係

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第4回 歯ブラシと姿勢の関係

今回はちょっと不思議な「歯ブラシと姿勢の関係」がテーマです。普通の歯科の考え方だったら、こんなの関係ないよ……と言われそうですね。
今回、保育士さんから『歯ブラシを嫌がるんです』『歯ブラシをしたがらないんです』『歯磨きができないことと、姿勢との関係はあるんですか?』という質問を受けました。

歯磨きの指導

基本的に歯ブラシの意味を知ると、嫌がるのは当然です。
「口の中を触れられるのを拒む・できない」だからそのまま自分勝手にさせておいて「泣くから嫌がることはしない」といった具合で、育児書に嫌がることはしないと載っていたからと、いい加減にしてしまう……そんな子ども達の近い将来は、好きなものしか食べられない・食べ物がうまく飲み込めないなどから始まり、食べられない・お菓子しか食べない・好き嫌いが多い・アレルギー・言うことを聞かない・すぐに疲れる・落ち着きがないなどの問題を引き起こしやすくなります。
歯磨きは口を閉じて、唾液をしっかり回すという、舌が本来行うべき仕事を歯ブラシで行うのです。「えー?」と言われる方も多いと思います。
でも、野生動物で歯ブラシを持って歯を磨いているなんて光景ありませんよね。
本来人間が動物であれば、歯ブラシをしないのが当然ですから、好きな行動のパターンではないのです。つまり、嫌いということ。
ここで、勉強や学習と言われる教育は、果たして好きな行動パターンなのでしょうか? これも、NOですよね。成長から考えると、この学習効果と言われる行動パターンは、何度も何度も繰り返し失敗(経験)をしながら人としての生活ができるようにするということなんです。歯ブラシは、人間が人間として成長していく上で必要不可欠な行動パターンなのです。

口腔を触れるという行為は、唇と舌の運動を行わせ、口腔という腔の環境を食べ物が触れる感覚を養い、どこの歯で噛んでいくのかを脳に伝える反射機能を整えるために行うのです。原始反射という、生まれて最初に自分の身を守るための特殊な機能の最も集約された場所は、身体ではなく口の中に最も多く存在します。おっぱいを乳輪までしっかり入れ、噛む様に顎を動かし舌でシゴクという行為があれば口の中の免疫力は高まり、唾液はしっかり出てしっかりと飲み込まれ、消化酵素としてしっかりと働くと同時に口腔という機能を高め、虫歯にもなりにくく、歯周病にもなりにくい食べ物を選択する機能を持つのです。
その証拠が霊長空隙(れいちょうくうげき)という、大きく口を開いて食べるようにおっぱいを飲んでいた子ども達だけに与えられる、前歯の空隙なのです。霊長類は、歯があり、鼻で呼吸し、口で噛みつき、食べるという行為を行います。全ての食物を食べられる機能を持っています。前歯と歯の間に空隙があるのが霊長空隙、 そして発育とともに口の中を食べることで綺麗にする歯ブラシも必要な空隙が発育空隙と言われる空隙で、繊維質の様な大きな食べ物を食べることで歯が綺麗になるという、上下のそれぞれの歯が互い違いにずれて、歯の間が開いているという構造を作りあげるのです。ですが、今の子ども達はその空隙が乳歯の段階からありません。つまり食べて綺麗になるという食べ物を食べられない構造を作りあげているのです。

呼吸の異常と飲み込みの異常の軟口蓋と扁桃の関係

最初にする歯ブラシの必要性は、歯が生えていない時からあるのです。
口腔が、目・鼻・耳の成長と大きく関わっているから口腔の様ざまな場所を触れるという行為は、本来は口深くに入るおっぱいと舌が行なっていたのです。
その口腔内の触れ足りない分を、歯ブラシという行動で補うということなのです(ここで言う「歯ブラシ」は一般的な言葉で、口腔を綺麗にし、口腔に刺激を与えるという行為を言います)。
だから歯が生える前から、将来の乳歯、そして乳歯の間が4歳までに充分に開いて、永久歯を迎える準備ができる状態が、この時の口腔内ボリュームの改善なのです。口の中と周囲の鼻、目、耳の機能を高める上にも、歯ブラシという行為は必要なのです。
この口の機能は、いわゆる、深飲みと言われる、乳輪まで口に含み、口を完全に塞いでしまっておっぱいを噛むように舌と顎を動かして飲むという、鼻で完全に呼吸できる子どもにとっては、歯が生える前から簡単にできる行為なのです。この深飲みは、親と子どもの抱き方の姿勢によって可能になってきます。浅飲みと言われる姿勢で、おっぱいを与えられた子ども達は、軟口蓋が下がります。
嫌だとか、できないという言葉を覚えさせる前に、必要なことなら歯ブラシを習慣化してあげる。できることを増やし、そして習慣化するという毎日の、癖にしていくべきなのです(言葉が始まる前の生後3か月から6か月までは親達の──目の前にいる人の──口元の動かし方、身体の動かし方を観ることで将来の言語機能を作りあげます。言葉の始まりは音ではなく、観るという目からの情報によって始まります)。

口の中が綺麗になっていないと、食べ物の味がどんどん、きつい味・濃い味を好み始めます。つまり、加工されている度合いが大きい食品を好むようになります。
糖質という人間固有の加工食品がありますが、この食品、保存食品として人間が作り上げた非常食ですが、カロリーの必要性から常食されるようになってきました。細菌がもっとも好むブドウ糖をたった数分で作りあげるという加工食品です。
最近は、1歳半までは砂糖だけでなく、パン・おかゆ・ご飯・お菓子・米菓子などの糖質すら与えないという教育の保育園ができています。こういった教育は、動物界では当たり前なのです。歯ブラシも教育として行なっている素晴らしい保育園もあるということです。

大きな口を開けて声を出すことも、歯ブラシを行う上で必要なことです。子ども達が口を開けてのどちんこ(口蓋垂)が見えない場合には、誤嚥をしやすく、呼吸と飲み込み、発音の成長が、悪いことを意味します。大人にも多い睡眠障害を意味します。「扁桃腺を切らないと」と言われた子ども達は、姿勢と呼吸、そして発音のトレーニングを行うことで、ほとんどの子は数か月で改善されます。0歳の歯が生える前から、歯ブラシは子どもが嫌がることだけど、しっかりと何回も歯の無いところも触れるというトレーニングを受けた子ども達は、1歳半くらいまでに良い機能を獲得し始め、2歳にはしっかりと発育空隙を獲得するのです。成長の最初に歯ブラシの意味をしっかりと身につけましょう。

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川邉 研次

川邉 研次

経歴

新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(25年続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹

1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー等も精力的に行なっている。

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