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社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第13回 平成28年度お勧めの助成金(1)

社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第13回 平成28年度お勧めの助成金(1)

2016.05.23

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング代表の川﨑潤一です。

今回から、平成28年度の助成金の中でお勧めの助成金について説明をしていきたいと思います。
前年度から引き続きで継続している助成金もありますが、支給条件や支給額が変わったもの、まったく新しいものもあります。

助成金の数は非常に多いため、全ての助成金について記載をすることはできませんので、特に人気がある助成金についてお話ししたいと思います。

キャリアアップ助成金

厚生労働省の助成金です。
こちらは前年度から引き続きで、今年度も継続となりました。しかも、支給額が引き上げられたりと、嬉しい改定がありました。

一番使いやすく人気があるのは、正規雇用等転換コース

こちらの助成金は、コースが複数ありいずれか一つでも該当すれば、そのコースの支給額が支給されます。
一番人気があり、使いやすいのは正規雇用等転換コースです。
そのため、今回はこのコースについて解説いたします。

正規雇用等転換コースの概要は以下の通りです。
就業規則に正規雇用等転換の制度に関する規定をします。
その上で、契約社員、パート労働者、派遣労働者等を正規雇用または無期雇用に転換、もしくは直接雇用した場合に支給されます。

有期契約労働者等を雇っている企業(これから雇う企業も含まれます)であれば利用できますので、有期契約労働者等を現在雇っている企業も、これから有期契約労働者等を雇う企業でも利用できます。
人を雇った際に使える助成金としては、使いやすくまたは金額も大きいため、非常に人気があります。

下記助成金の金額については、大企業か中小企業かで金額が異なります。

中小企業に該当する企業とは、下記の資本金額または労働者数のどちらかに該当する企業です。
該当しない企業は大企業という扱いになります。

業種 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

キャリアアップ助成金の概要と昨年度との違い

概要 新金額(平成28年度 改定) 旧金額(平成27年度 改定前)
有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に支給
  1. 有期 → 正規
    1人60万円(45万円)
  2. 有期 → 無期
    1人30万円(22.5万円)
  3. 無期 → 正規
    1人30万円(22.5万円)
  1. 有期 → 正規
    1人50万円(40万円)
  2. 有期 → 無期
    1人20万円(15万円)
  3. 無期 → 正規
    1人30万円(25万円)

※()内は大企業の額

昨年度との違いは、支給金額です。
前年度に比べますと、有期から正社員へ転換、有期から無期雇用へ転換した場合に、支給額が上がりました。
中小企業の場合には、1人あたり10万円支給額が上がりました。

■ 対象となる労働者

  1. 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の有期契約労働者
  2. 正規雇用として雇用することを約束されて、雇い入れられた労働者でないこと
  3. 転換日または直接雇用日の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所において雇用されたことがない者
主な内容となります。その他にも条件があります。

■ 対象となる事業主

  1. 有期契約労働者等を正規雇用または無期雇用に転換する制度について、就業規則等に規定していること
  2. 上記1の制度にもとづいて転換を行い、転換後6か月以上の期間継続して雇用し、転換後6か月分の賃金を支給すること
  3. 無期雇用への転換の場合には、転換前の基本給より5%以上昇給させること
  4. 転換日の前日から6か月前の日から1年を経過する日までの間に、解雇等の事業主都合退職者がいないこと
  5. 雇用保険の加入条件を満たしている従業員については、加入させていること
  6. 社会保険の加入条件を満たしている従業員については、加入させていること
主な内容となります。その他にも条件があります。

■ どのように使うのか

社員を採用する際には、契約社員として雇い入れを行います。
その後、雇い入れから6か月以上経過した後に、正規雇用転換試験を実施し、合格した従業員を正社員として転換させた場合には、対象となります。
いわば試用期間のような感覚で、まずは契約社員として採用します。
その後、正規雇用等転換試験を本人が希望し、会社が設定した受検の条件を満たしている場合には受検してもらいます。
試験を行い、会社側が正社員への転換をしてもよいと判断した場合には、正社員へ転換させます。

パートタイマーを採用する際には、有期契約パートタイマーとして雇い入れを行います。
その後、雇い入れから6か月以上経過した後に、無期雇用転換試験(または正規雇用転換試験)を実施し、合格した従業員を無期契約パートタイマーまたは正社員として転換させた場合には、対象となります。

助成金を利用しないとしても、有期契約とすることは会社側にとって有利となる面があります。
有期契約はあくまでの契約期間を定めて雇うこととなりますので、契約を更新するか否かについては、事前に条件を定めておくことができます。
そのため、条件を満たさないと会社が判断した場合には、契約期間満了で退職していただく、という選択をすることが可能となります。

事前に更新の条件は本人へ伝えてください。条件を満たさないようであれば会社が指導・改善をするようにしてください。
それでも改善が見られず、やむを得ず契約更新をしない場合には、事前にその旨本人へ伝えるようにしましょう。

正社員や無期雇用として最初から採用してしまうと、解雇等の会社都合での退職をしてもらうのは、法令や判例からしますと非常に難しいため、雇いたいがどのような働きぶりをするのか様子を見たいという場合には、有期契約をするということは有効な手段となります。

助成金を貰うためにすべき2つのこと

助成金を貰うためには、下記の2つのことをまず行う必要があります。

  1. 助成金計画書の提出と認定
  2. 就業規則の整備(正規雇用等転換制度の規定の追加)

1の助成金計画書は、このキャリアアップ助成金について、どのコースを導入し、どのような運用をしていくのかを決まったフォーマットにて作成する必要があります。
計画期間はこれから先の最大5年間で設定できます。
作成しましたらハローワークへ提出を行い、労働局にて計画内容について認定してもらうことが必要です。
認定されれば、認定された期間内は有効となります。
1年度1事業所あたり15人までが助成金の対象となります。
対象人数が多くなれば、その分だけ支給額が増えることとなります。

2の就業規則の整備(正規雇用等転換制度の規定の追加)は、自社の正規雇用等転換制度について決め、規定を作成します。
就業規則が無い会社については、作成が必要です。
すでに就業規則がある会社については、正規雇用等転換制度の規定の追加を行い、改定が必要です。

上記2つのことをした上で、転換をした従業員から助成金の対象となります。

助成金が支給されるまでのタイムスケジュール

  1. 助成金の対象者は、有期契約労働者等として6か月以上雇うことが必要です。
  2. 正規雇用等転換を行い、6か月以上は継続して雇用し、6か月分の賃金を支給します。
  3. 6か月分の賃金を支給した後に、申請に必要な書類を準備し、申請を行います。
  4. 申請をした後に労働局にて審査があります(スムーズに審査が進めば約4か月間)。
  5. 審査の結果、助成金を支給するか否かが決定されて通知が事業主宛に郵送で届きます。
  6. 審査結果が届いた後に、10日前後ほどで指定した金融機関に、助成金が振り込まれます。

新しく雇用した従業員に対して、この助成金を使う場合には、雇い入れから支給までは約1年6か月ほどかかります。

現在有期契約労働者等を雇っている企業も、これから人を雇用していく企業も利用できますので、うまく活用していただければと思います。

助成金を貰うためには、様々な支給条件や申請書類の提出が求められます。自社で申請をされる際には、必ず最寄りのハローワークまたは労働局にて確認を行ってください。
助成金を利用したいが手続き等が面倒だと感じる企業は、社会保険労務士への業務委託をご検討ください。

川﨑 潤一

川﨑 潤一

経歴

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング 代表
株式会社ヒューマンブレークスルー認定ESコンサルタント、全国社会保険調査対策協議会会員

財閥系子会社、医療事務・介護事業会社の人事として、採用・給与計算・労働保険手続きを担当し、2011年4月1日に社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティングを開業。

ハローワークにて「助成金支給申請アドバイザー」として、窓口で支給申請の受理手続き(約700件)、相談・アドバイス、不正受給防止のため事業所への実地調査を行った経験がある。
その勤務経験から、企業に対して現状と今後の展望をヒアリングした上で、最適な助成金の提案・手続きを行っている。

社会保険労務士として、労働社会保険手続き、助成金手続き、就業規則の作成・改定、給与計算、セミナー講師を行う。
その一方で、人事マンの経験を活かし人事コンサルタントとして、採用コンサルティング、従業員満足度(ES)調査・向上コンサルティング、マネジメント能力向上研修(マネージャーMQ)、社会保険調査対策、人事制度構築といった人事コンサルティングにも力を入れている。

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