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社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第9回 年金事務所の調査

社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第9回 年金事務所の調査

2015.12.22

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング代表の川﨑潤一です。

今回は、年金事務所の調査が具体的にどのようなものであるのかについて解説いたします。
調査の内容がわかれば対策が取れますので、今回はまず、調査とはどのような内容なのかを把握してください。

全体的な流れ

前回に解説いたしましたが、再度調査の全体的な流れについて記載します。
下記のように、文書や電話等の連絡があり、企業側の反応をみて次の段階へ進んでいきます。

厚生年金保険の適用促進業務のフロー
※出典:厚生労働省 平成27年1月14日 プレスリリース

ステップ1 照会

まず企業の現状を年金事務所が把握しようとすることから始まります。
ある日突然封書が届きます。
文書としては以下のようなものです。

厚生年金保険・健康保険の加入について(照会)|事業所の常用調査について(回答)

内容としては、現状について質問に回答するような様式となっています。
休眠企業、ペーパーカンパニーではないかどうか。
企業として経営をしているのであれば、従業員を雇っているのか、雇っているのであれば雇用形態や人数はどのようになっているのか、といった内容です。

年金事務所としては、まず現状を把握した上で、加入義務があるのかどうかを判断したいため、このような様式で送られてきます。

こちらの様式にて、加入義務があると判断された場合には次のステップへ進みます。

ステップ2 督促

年金事務所が加入義務ありと判断し、しばらく経過しても加入手続きが行われていない場合には、下記のような督促状が届きます。
加入義務があること、そのため加入手続きを行うことが記載されています。
様式は年金事務所によって異なる場合があります。

こちらの年金事務所の場合には、来所するように記載があります。
また、再度、現状についての質問状も同封されています。照会に比べますと、質問内容が詳細になっています。

厚生年金保険・健康保険の加入状況の確認について(督促状)|事業状況回答書

別の年金事務所では、自発的に加入手続きを行うこと、手続をせずに立ち入り検査を行った場合に過去2年分の保険料を一括で支払うこととなること、の記載があります。

厚生年金保険・健康保険制度への加入について|厚生年金保険・健康保険の加入義務について
保険料の試算額(参考例)

こちらの文書が届いても加入手続きを行わない、来所しないといった場合には、次の段階へ進みます。
なお、質問に回答してもしなくても、次のステップへ進むようになっています。

ステップ3 来所通知

ステップ2で質問に回答しても、しなくても、加入手続きを行わない場合には、この来所通知が届きます。
多少文面が異なるだけで、回答の有無にかかわらず加入するように記載があり、年金事務所へ来所するような案内となっています。

来所通知|厚生年金保険・健康保険の加入について(来所通知)

返送しない場合の方が、強めの内容となっています。
立ち入り調査と過去2年分の遡及をする旨の記載があります。

それでもなお加入手続きを行わない場合には、次のステップとして立ち入り調査へと進むこととなります。
立ち入り調査まで進んでしまいますと、これまでの通知に記載のある通り、過去2年分の保険料を一括納付することを求められます。

過去2年分の保険料となりますと、企業規模によっては数千万円という金額になることもあります。
支払いについては一括での支払いを求められます。
この点については交渉が難しいと言わざるを得ません。
年金事務所側からしますと、これまで何度も通知をし、指導を行ってきたわけですが、それでも加入手続きを行わなかったわけですから、問答無用というスタンスです。

社会保険料の負担は非常に大きいです。しかし、だからといって支払わなくてもよいというものではありません。
マイナンバー制度がスタートする主旨からしますと、支払うべきものをきちんと支払わせるということですので、社会保険料について今後は税金と同様に納付義務があることを企業側がしっかりと認識することが重要です。

文書の通知が届く前にどれだけ対処できているかによって、加入した際に保険料負担が変わります。
通知が来てから対処しようとしても、打てる手は限られてしまいます。
法人でまだ社会保険に未加入の企業については、できる限り早くご相談いただくことをお勧めいたします。

次回は、すでに社会保険に加入している企業に対する調査について、解説いたします。

川﨑 潤一

川﨑 潤一

経歴

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング 代表
株式会社ヒューマンブレークスルー認定ESコンサルタント、全国社会保険調査対策協議会会員

財閥系子会社、医療事務・介護事業会社の人事として、採用・給与計算・労働保険手続きを担当し、2011年4月1日に社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティングを開業。

ハローワークにて「助成金支給申請アドバイザー」として、窓口で支給申請の受理手続き(約700件)、相談・アドバイス、不正受給防止のため事業所への実地調査を行った経験がある。
その勤務経験から、企業に対して現状と今後の展望をヒアリングした上で、最適な助成金の提案・手続きを行っている。

社会保険労務士として、労働社会保険手続き、助成金手続き、就業規則の作成・改定、給与計算、セミナー講師を行う。
その一方で、人事マンの経験を活かし人事コンサルタントとして、採用コンサルティング、従業員満足度(ES)調査・向上コンサルティング、マネジメント能力向上研修(マネージャーMQ)、社会保険調査対策、人事制度構築といった人事コンサルティングにも力を入れている。

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