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社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第7回 マイナンバー制度と社会保険への加入義務

社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第7回 マイナンバー制度と社会保険への加入義務

2015.10.20

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング代表の川﨑潤一です。

今回は社会保険への加入義務の条件(企業、従業員)、扶養制度について解説いたします。
マイナンバー制度が開始されることで、未加入企業に対しては加入促進の指導、すでに社会保険に加入している企業に対しては加入漏れについての指導がされていくことになります。

どのような場合に法令上は加入義務があるのかを、今回は理解してください。
加入義務があるが加入していない企業や従業員に対し、マイナンバー制度で特定され指導の対象となるからです。
現状で自社は加入義務があるのか否か、きちんと把握するところから対策のスタートです。

社会保険とは

一般的には、健康保険と厚生年金を合わせて社会保険と呼びます。
求人募集をする際に「社会保険完備」とするためには、健康保険と厚生年金の加入をしている企業である、ということになります。

一部では国民健康保険組合に加入したまま、厚生年金のみに加入している企業もあります。

社会保険に加入義務のある企業とは

法令上で社会保険への加入義務のある企業が定義づけされています。

■ 強制適用事業所

  • 法定16業種の事業所(個人事業)であり、常時5人以上の従業員を使用
  • 国、地方公共団体又は法人の事業所であり、常時従業員を使用
法定16業種
  • 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
  • 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
  • 鉱物の採掘又は採取の事業
  • 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
  • 貨物又は旅客の運送の事業
  • 貨物積卸しの事業
  • 焼却、清掃又はとさつの事業
  • 物の販売又は配給の事業
  • 金融又は保険の事業
  • 物の保管又は賃貸の事業
  • 媒介周旋の事業
  • 集金、案内又は広告の事業
  • 教育、研究又は調査の事業
  • 疾病の治療、助産その他医療の事業
  • 通信又は報道の事業
  • 社会福祉法に定める社会福祉事業及び更生保護事業
法定16業種以外の業種(法人で1人でも従業員がいる場合には強制適用になります)
  • 農林、畜産、養蚕、水産業
  • 旅館、料理店、飲食店、映画館、理美容業
  • 法務業
  • 宗教業
適用除外の事業所でも、使用される者の2分の1以上の同意の上、認可を受ければ適用事業所とすることができます。
  個人 法人等
従業員数 法定16業種 法定16業種以外 法定16業種 法定16業種以外
5人未満 任意適用 任意適用 強制適用
 5人以上 強制適用 任意適用

簡単にまとめますと以下のようになります。

  • 個人事業であれば、従業員数が5人未満であれば強制ではない
  • 個人事業で従業員数が5人以上となると、法定16業種以外の業種は強制となる
  • 法人の場合には、業種や従業員数に関係なく強制となる。役員のみでも加入となる

従業員の中で加入義務のある者とは

会社が社会保険に加入義務があったとしても、従業員の中で加入義務のない者もいます。
従業員の中で加入義務のない者は、法令上で下記のように定められています。

■ 適用除外となる者

適用除外となる者 被保険者となる者
船員保険の被保険者 疾病任意継続被保険者である者
日々雇入れられる者 1ヶ月を超え、引き続き使用されるに至った場合(その日から)
2ヶ月以内の期間を定めて使用される者 所定の期間を超えて、引き続き使用されるに至った場合(その日から)
事業所の所在地が一定しない者の使用される者  
季節的業務に使用される者 継続して4ヶ月を超えて使用されるべき場合(初めから被保険者となる)
臨時的事業の事業所に使用される者 継続して6ヶ月を超えて使用されるべき場合(初めから被保険者となる)
国民健康保険組合の事業所に使用される者  
後期高齢者医療の被保険者  

表の左側「適用除外となる者」に該当している従業員は加入義務がありません。
しかし、右側「被保険者となる者」に該当した場合(最初から該当する場合、途中から該当する場合)には、強制加入となります。

扶養となる場合とは

社会保険には扶養という考え方があります。
条件を満たした場合には、保険料の負担がなく、給付(例えば病院の窓口負担3割)を受けることができます。

夫または妻が社会保険に加入している(被保険者となっている)場合、被保険者の配偶者の年収が130万円未満かつ被保険者の年収の2分の1未満ですと、夫または妻の健康保険の被扶養者となることができます。

しかし、収入・労働時間により扶養に入れるのか、個人で国民健康国民年金に加入なのか、社会保険に加入しなければならないのか、扱いが異なります。

被扶養者の加入する健康保険・年金は次のように分類することができます。

■ 夫が被保険者、妻が被扶養者の場合の例

妻の労働条件 健康保険 年金関係
労働時間・労働日数ともに3/4以上 妻自身が健康保険に加入 妻自身が厚生年金保険に加入
労働時間3/4未満かつ年収130万円未満 夫の健康保険の被扶養者 国民年金の第3号被保険者
労働時間3/4未満かつ年収130万円以上 妻自身が国民健康保険に加入 妻自身が国民年金の第1号被保険者として加入

上記労働時間・労働日数は、正社員の所定労働時間・所定労働日数と比べた時の労働時間・労働日数です。

社会保険法上の扶養と、税法上の扶養とは異なります。
一般的に税法上の扶養というと、配偶者控除を受けることをいい、その際には年間収入が103万円未満である必要があります。

社会保険の扶養の加入条件は、年収が130万円未満、(扶養に入る人が60歳以上の場合や障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者の場合には180万円未満)で、被保険者の年収の2分の1未満です。

従業員ごとの事情に応じて、労働日数・時間数・月収入額(年間収入額)の希望が異なります。
上記をご参考にしていただき、従業員・会社それぞれの意向から労働時間・労働日数をご検討ください。

まずは今回記載しました社会保険の加入条件をしっかりと確認してください。
マイナンバー制度により、未加入となっている企業・従業員がいるのか否かについては、今回の条件を満たしているのか否かが判断基準となります。
現状において、自社や自社従業員の中で、加入条件を満たしているが加入していない状態になっているか否かを把握することからスタートします。

次回は未加入企業への国の取組方針について、解説いたします。

川﨑 潤一

川﨑 潤一

経歴

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング 代表
株式会社ヒューマンブレークスルー認定ESコンサルタント、全国社会保険調査対策協議会会員

財閥系子会社、医療事務・介護事業会社の人事として、採用・給与計算・労働保険手続きを担当し、2011年4月1日に社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティングを開業。

ハローワークにて「助成金支給申請アドバイザー」として、窓口で支給申請の受理手続き(約700件)、相談・アドバイス、不正受給防止のため事業所への実地調査を行った経験がある。
その勤務経験から、企業に対して現状と今後の展望をヒアリングした上で、最適な助成金の提案・手続きを行っている。

社会保険労務士として、労働社会保険手続き、助成金手続き、就業規則の作成・改定、給与計算、セミナー講師を行う。
その一方で、人事マンの経験を活かし人事コンサルタントとして、採用コンサルティング、従業員満足度(ES)調査・向上コンサルティング、マネジメント能力向上研修(マネージャーMQ)、社会保険調査対策、人事制度構築といった人事コンサルティングにも力を入れている。

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