保育園運営のヒント

社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第6回 マイナンバー制度 企業の対応

社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第6回 マイナンバー制度 企業の対応

2015.09.24

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング代表の川﨑潤一です。

前回はマイナンバー制度の概要について説明しました。
今回は具体的に企業としてどのような対応が必要であるか、解説いたします。

番号法の骨子を踏まえた対応・検討

番号法の定めに対して企業としてどのような対応をするのかを検討します。

●目的外利用の禁止
個人番号に関して、社会保障・税・災害対策分野での事務に限定し、「必要な限度で」のみ利用することができるとされており、目的外利用が禁止されています。

●提供の求めの制限
法に規定する場合を除き、他人に個人番号の提供を求めることは禁止されており、番号を従業員から取得する際には、対象となる業務か否かの確認が必要となります。

●本人確認の措置
本人から個人番号の提供を受ける時は、その者が本人であることを確認するための措置をとる必要があり、本人の実存性と番号真正性を確認する必要があります。

●情報の安全管理
企業が個人番号を取り扱う際には、漏えい、滅失又は毀損の防止その他適切な管理のための必要な措置を講じる必要があり、情報の安全管理対策が必要となります。

個人番号の回収については、あくまでも個人情報となりますので、強制的に回収することができません。
そのため、事前に従業員へ説明し行政への手続に必要であることを理解してもらいます。 その上で、同意書を作成して利用目的や第三者への提供等について記載し、署名捺印してもらいます。
同意書と共に個人番号を回収するようにするのがよいでしょう。

一番重要な事は個人番号の管理、セキュリティ体制

個人番号には様々な個人情報が詰まっています。
そのため個人番号の管理(漏えい防止)が一番の課題となります。

紙で管理する場合には、紛失や漏えいをしないように鍵のかかるロッカー等での保管が想定されます。
その際には、鍵を管理する者を誰とするか、どのような手順で鍵の管理をするか等の決めが必要となります。

データで管理する場合には、システムに関するセキュリティ(ITとしてのセキュリティ)をどのようにするのか検討が必要です。
データで管理する場合には、不正アクセス等による流出が想定されます。
そのため、データ管理をするシステムの見直し、データを扱えるパソコンを限定し鍵のかかる部屋にて入退室できる人間を限定する等の措置が想定されます。

想定されるリスクの洗い出しとその対策を練っておく

個人番号については、本人確認、番号の収集、番号の移送・送信、番号の利用・加工、番号の保管、番号の消去・廃棄、その他全般といった流れがあります。
それぞれで想定されるリスクとその対策を練っておくことが重要です。

想定されるリスクと対処

想定されるリスクと対処

税理士や社会保険労務士へ委託している場合

個人番号は税と社会保障に関する役所への手続書類を作成・提出する際に、記載が必須となっています。そのため、税理士や社会保険労務士と顧問契約をしていて、手続代行をお願いしている場合には、個人番号の管理をお願いすることとなります。
税理士や社会保険労務士が企業に代わってセキュリティソフトやシステムにてしっかりと管理できていれば、企業が個人番号を保管・管理する必要もないかもしれません。

ただし、委託する以上は委託先の税理士や社会保険労務士のセキュリティ体制を必ず確認されることをお勧めいたします。
自社で漏えいせずとも、委託先の税理士や社会保険労務士が漏えいさせては同じこととなってしまいます。

ちなみに、当事務所の場合は、業務を行っている事務スペースは鍵付きの部屋で仕切られています。
業務用システムを使用しておりますが、手続に必要な従業員個人の情報と個人番号は別のシステムでそれぞれ管理するようにしました。
パソコンのシステム自体にもセキュリティシステムを導入しました。

マイナンバー制度で社会保険の強制加入と年金事務所からの調査が激化

マイナンバー制度の趣旨は前回もお話しましたが、脱税や社会保険未加入等の防止が目的となります。
ということは、今後は法人で社会保険に未加入となっている企業、社会保険に加入しているが正しく社会保険料を納めていない企業については厳しく調査・指導の対象となるということです。

これは今後の企業経営に非常に大きな影響を与えることとなります。
社会保険に未加入となっている法人、社会保険料が未払いとなっている(正しく保険料を納めていない)法人については、最悪の場合過去二年分を一括で支払を求められます。

未払いの分については一括払いとなりますので、非常に厳しいです。
社会保険料の金額は非常に大きいため、数千万円の支払が急に発生することが想定されます。

次回は、この社会保険に関する国の方針や年金事務所の調査について解説いたします。

川﨑 潤一

川﨑 潤一

経歴

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング 代表
株式会社ヒューマンブレークスルー認定ESコンサルタント、全国社会保険調査対策協議会会員

財閥系子会社、医療事務・介護事業会社の人事として、採用・給与計算・労働保険手続きを担当し、2011年4月1日に社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティングを開業。

ハローワークにて「助成金支給申請アドバイザー」として、窓口で支給申請の受理手続き(約700件)、相談・アドバイス、不正受給防止のため事業所への実地調査を行った経験がある。
その勤務経験から、企業に対して現状と今後の展望をヒアリングした上で、最適な助成金の提案・手続きを行っている。

社会保険労務士として、労働社会保険手続き、助成金手続き、就業規則の作成・改定、給与計算、セミナー講師を行う。
その一方で、人事マンの経験を活かし人事コンサルタントとして、採用コンサルティング、従業員満足度(ES)調査・向上コンサルティング、マネジメント能力向上研修(マネージャーMQ)、社会保険調査対策、人事制度構築といった人事コンサルティングにも力を入れている。

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