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社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第2回 キャリアアップ助成金

社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第2回 キャリアアップ助成金

2015.05.20

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング代表の川﨑潤一です。

今回は平成27年度の助成金についてお話をしたいと思います。
前回は、助成金制度全般の概略についてお話ししました。今回は具体的にどのような助成金があるのかをお話しします。

助成金の数は非常に多いため、全ての助成金について記載をすることはできませんので、特に人気がある助成金についてお話ししたいと思います。

キャリアアップ助成金

厚生労働省の助成金です。

対象となる会社は、少なくとも下記に該当していることが必要です。

  • 雇用保険の適用事業所となっていること
  • 労働保険料を納付していること
  • 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令に違反していないこと
  • 法人であれば社会保険に加入していること
※上記以外にも条件がありますので、ご注意ください。

対象となる従業員は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規労働者となります。 そういった方々の企業内でのキャリアアップなどを促進するため、正規雇用への転換、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成する制度となっています。

助成金の対象となるコースが複数ありますので、その内どれか一つでも該当すれば、その金額が支給されます。

業種 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下
上記助成金の金額については、大企業か中小企業かで金額が異なります。
中小企業に該当する企業とは、下記の資本金額または労働者数のどちらかに該当する企業です。該当しない企業は大企業という扱いになります。

キャリアアップ助成金の概要

コース 概要 金額
正規雇用等転換 正規雇用等に転換または直接雇用した場合に助成
  1. 有期→正規
    1人50万円(40万円)
  2. 有期→無期
    1人20万円(15万円)
  3. 無期→正規
    1人30万円(25万円)
多様な正社員
  1. 勤務地限定正社員または職務限定正社員制度を新たに規定し適用した場合
  2. 有期契約労働者等を勤務地限定正社員、職務限定正社員または短時間正社員に転換または直接雇用した場合
  3. 正規雇用労働者を短時間正社員に転換または直接雇用した場合
  1. 1事業所あたり40万円(30万円)
  2. 1人あたり30万円(25万円)
  3. 1人あたり20万円(15万円)
人材育成 有期契約労働者等に次の訓練を実施した場合
  1. 一般職業訓練(Off-JT)
  2. 有期実習型訓練(「ジョブカード」を活用したOff-JTとOJTを組み合わせた3~6か月の職業訓練)
  3. 中長期的キャリア形成訓練(厚生労働大臣が専門的・実践的な教育訓練として指定した講座、Off-JT)
  4. 育児休業中訓練(Off-JT)
Off-JT分の支給額
賃金助成~1人1時間あたり800円(500円)
経費助成~1人あたりOff-JTの訓練時間数に応じて10~50万円(7~30万円)

OJT分の支給額
実施助成~1人1時間あたり800円(700円)
処遇改善 すべてまたは一部の有期契約労働者等の基本給の賃金テーブル等を2%以上増額改定し、昇給させた場合
  1. すべての有期契約労働者等の賃金テーブル等を増額した場合~1人あたり3万円(2万円)
  2. 一部の賃金テーブル等を増額改定した場合~1人あたり1.5万円(1万円)
健康管理 有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合 1事業所あたり40万円(30万円)
短時間労働者の週所定労働時間延長 労働者の週所定労働時間を、25時間未満から30時間以上に延長し、社会保険を適用した場合 1人あたり10万円(7.5万円)

※()内は大企業の額

OJT(On the Job Training)……実際に仕事を担当させながら育成を行うもの
Off-JT(Off theJob Training)……実際の仕事から離れたところでの育成。集合研修などがこれに当たる。

一番使いやすく人気があるのは正規雇用等転換コース

コースは複数ありますが、今回は一番人気があり、使いやすいのは正規雇用等転換コースです。
そのため今回は、このコースについて解説致します。

正規雇用等転換コースの概要は以下の通りです。
就業規則に正規雇用等転換の制度に関する規定をします。
その上で、契約社員、パート労働者、派遣労働者等を正規雇用または無期雇用に転換、もしくは直接雇用した場合に支給されます。

有期契約労働者等を雇っている企業(これから雇う企業も含まれます)であれば利用できますので、有期契約労働者等を現在雇っている企業も、これから有期契約労働者等を雇う企業でも利用できます。
人を雇った際に使える助成金としては、使いやすくまたは金額も大きいため、非常に人気があります。

■ 対象となる労働者

  1. 支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上の有期契約労働者
  2. 正規雇用として雇用することを約束されて、雇い入れられた労働者でないこと
  3. 転換日または直接雇用日の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所において雇用されたことがない者
主な内容となります。その他にも条件があります。

■ 対象となる事業主

  1. 有期契約労働者等を正規雇用または無期雇用に転換する制度について、就業規則等に規定していること
  2. 上記1の制度にもとづいて転換を行い、転換後6か月以上の期間継続して雇用し、転換後6か月分の賃金を支給すること
  3. 無期雇用への転換の場合には、転換前の基本給より5%以上昇給させること
  4. 換日の前日から6か月前の日から1年を経過する日までの間に、解雇等の事業主都合退職者がいないこと
  5. 雇用保険の加入条件を満たしている従業員については、加入させていること
  6. 社会保険の加入条件を満たしている従業員については、加入させていること
主な内容となります。その他にも条件があります。

■ どのように使うのか

社員を採用する際には、契約社員として雇い入れを行います。
その後、雇い入れから6か月以上経過した後に、正規雇用転換試験を実施し、合格した従業員を正社員として転換させた場合には、対象となります。
いわば試用期間のような感覚でまずは契約社員として採用します。
その後、正規雇用等転換試験を本人が希望し、会社が設定した受検の条件を満たしている場合には受検してもらいます。
試験を行い、会社側が正社員への転換をしてもよいと判断した場合には、正社員へ転換させます。

パートタイマーを採用する際には、有期契約パートタイマーとして雇い入れを行います。 その後、雇い入れから6か月以上経過した後に、無期雇用転換試験(または正規雇用転換試験)を実施し、合格した従業員を無期契約パートタイマーまたは正社員として転換させた場合には、対象となります。

助成金を利用しないとしても、有期契約とすることはま会社側にとっては有利となる面があります。
有期契約はあくまでの契約期間を定めて雇うこととなりますので、契約を更新するか否かについては、事前に条件を定めておくことができます。
そのため、条件を満たさないと会社が判断した場合には、契約期間満了で退職していただく、という選択をすることが可能となります。

事前に更新の条件は本人へ伝えてください。 条件を満たさないようであれば会社が指導・改善をするようにしてください。
それでも改善が見られず、やむを得ず契約更新をしない場合には、事前にその旨本人へ伝えるようにしましょう。

正社員や無期雇用として最初から採用してしまうと、解雇等の会社都合での退職をしてもらうのは、法令や判例からしますと非常に難しいため、雇いたいがどのような働きぶりをするのか様子を見たいという場合には、有期契約をするということは有効な手段となります。

助成金を貰うためにすべき2つのこと

助成金を貰うためには、下記の2つのことをまず行う必要があります。

  1. 助成金計画書の提出と認定
  2. 就業規則の整備(正規雇用等転換制度の規定の追加)

助成金計画書とは、このキャリアアップ助成金について、どのコースを導入し、どのような運用をしていくのかを決まったフォーマットにて作成する必要があります。
計画期間はこれから先の最大5年間で設定できます。
作成しましたらハローワークへ提出を行い、労働局にて計画内容について認定してもらうことが必要です。
認定されれば、認定された期間内は有効となります。
1年度1事業所あたり15人までが助成金の対象となります。
対象人数が多くなれば、その分だけ支給額が増えることとなります。

就業規則の整備(正規雇用等転換制度の規定の追加)とは、自社の正規雇用等転換制度のついて決めをし、規定を作成します。
就業規則がない会社については、作成が必要です。
すでに就業規則がある会社については、正規雇用等転換制度の規定の追加を行い、改定が必要です。

上記2つのことをした上で、転換をした従業員から助成金の対象となります。

助成金が支給されるまでのタイムスケジュール

  1. 助成金の対象者は、有期契約労働者等として6か月以上雇うことが必要です。
  2. 正規雇用等転換を行い、6か月以上は継続して雇用し、6か月分の賃金を支給します。
  3. 6か月分の賃金を支給した後に、申請に必要な書類を準備し、申請を行います。
  4. 申請をした後に労働局にて審査があります(おおよそ4か月間)
  5. 審査の結果、助成金を支給するか否かが決定されて通知が事業主宛に郵送で届きます。
  6. 審査結果が届いた後に、10日前後ほどで指定した金融機関に、助成金が振り込まれます。

新しく雇用した従業員に対してこの助成金を使う場合には、雇い入れから支給までは約1年6か月ほどかかります。

現在有期契約労働者等を雇っている企業も、これから人を雇用していく企業も利用できますので、うまく活用していただければと思います。

助成金を貰うためには、様々な支給条件や申請書類の提出が求められます。自社で申請をされる際には、必ず最寄りのハローワークまたは労働局にて確認を行ってください。
助成金を利用したいが手続き等が面倒だと感じる企業は、社会保険労務士への業務委託をご検討ください。

川﨑 潤一

川﨑 潤一

経歴

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング 代表
株式会社ヒューマンブレークスルー認定ESコンサルタント、全国社会保険調査対策協議会会員

財閥系子会社、医療事務・介護事業会社の人事として、採用・給与計算・労働保険手続きを担当し、2011年4月1日に社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティングを開業。

ハローワークにて「助成金支給申請アドバイザー」として、窓口で支給申請の受理手続き(約700件)、相談・アドバイス、不正受給防止のため事業所への実地調査を行った経験がある。
その勤務経験から、企業に対して現状と今後の展望をヒアリングした上で、最適な助成金の提案・手続きを行っている。

社会保険労務士として、労働社会保険手続き、助成金手続き、就業規則の作成・改定、給与計算、セミナー講師を行う。
その一方で、人事マンの経験を活かし人事コンサルタントとして、採用コンサルティング、従業員満足度(ES)調査・向上コンサルティング、マネジメント能力向上研修(マネージャーMQ)、社会保険調査対策、人事制度構築といった人事コンサルティングにも力を入れている。

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