保育園運営のヒント

子ども・子育て新制度について
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2015.04.15

子ども・子育て新制度について第6回 平成27年度分の公定価格確定表

前回では、私立幼稚園の新制度への移行調査結果や市町村が策定した今後5年間の量の見込みなどをご紹介しました。
今回は、2月に実施された子ども・子育て会議にて平成27年度分の公定価格確定表が提示されたことを踏まえて、その内容を中心にご紹介します。

平成27年度分の公定価格表について

平成27年2月5日に実施された子ども・子育て会議にて、平成27年度分の公定価格表が提示されました。前会でもお伝えしたとおり、公定価格については、仮単価の提示以降、様々な意見の提示がされてきましたが、それらを基に国が検討を行い、2月の子ども・子育て会議にて、最終的な単価表が決定しました。
平成26年5月に提示された公定価格仮単価表では、追加で必要な予算のうち「0.7兆円の範囲で実施する事項」と「0.3兆円の追加予算で実施する事項」で項目が分かれており、かつ単価自体も「質の改善前」と「質の改善後」で分かれていました。
消費税10%化の先送りなどによる財源不足で最終案がどのような形になるか不透明な状態でしたが、国が予算編成過程で0.5兆円の予算確保をしたことを受け、平成27年度分の公定価格は、「0.7兆円の範囲で実施する事項」と「質の改善」をすべて実施する形となりました。
なお、平成27年2月5日の子ども・子育て会議にて国から公定価格単価の比較表が提示されました。(図1参照)

【図1】〈保育所〉公定価格の単価表に基づいた1施設当たりの公定価格の総額・比較表
【図1】 平成27年2月5日(第22回)子ども・子育て会議資料より抜粋

図1は保育所用の公定価格比較表となります。比較表を作成する上で前提条件となる園児数や年齢構成の割合、定員規模は図1の上段にある通りとなっています。
図1下段の比較表では、左側の金額A欄に仮単価表の中の「質改善前」の単価を基にした各項目の年額が記載されています。金額A欄の右側にある金額B欄が平成27年度の単価となっています。
この比較表の合計欄を見るとわかりますが、質改善前の金額Aから平成27年度単価の金額Bで年額が約1,000万円程度上がっている形となります。
公定価格については、5月の仮単価提示以降、様々な議論が繰り返されてきましたが、今回、子ども・子育て会議に提示された内容を持って制度施行に向けた準備は整理された形になります。

公定価格に係る調整課題の対応について

前回でもお伝えしましたが、全国の認定こども園等からあがっていた調整課題に関する公定価格への対応についても、子ども・子育て会議にて資料が提示されました。

■ 現行の幼保連携型認定こども園が新制度に基づく幼保連携型認定こども園に移行する場合における施設長の人件費の経過措置

現行の幼保連携型認定こども園では、幼稚園部分と保育所部分、それぞれに対して施設長の人件費が支払われていましたが、新制度では一体的な施設となることから、施設長の人件費は1人分となることが調整課題として挙げられていました。
その点について、国は5年間の経過措置として、現に施設長であるものが退職等をする時点までは二人分の施設長人件費を支払うことを決めました。(図2を参照)

【図2】現行の幼保連携型認定こども園が新制度に基づく幼保連携型認定こども園に移行する場合における施設長の人件費の経過措置
【図2】 平成27年1月22日(第21回)子ども・子育て会議資料より抜粋

■ 大規模園の実態を踏まえた加配加算の見直し

幼稚園や認定子ども園において、基本単価に含まれる教諭数を超えて教諭を配置している場合、新制度では職員加配加算にて人件費相当分を補填する仕組みとなっています。
しかし、職員加配加算の利用定員ごとの算定上限職員数が大規模園の実態に則していないとの意見が挙げられたため、調整課題となっていました。
その点について、国は実態に合わせた柔軟な対応ができるように、算定上限数の見直しを行いました。(図3を参照)

【図3】大規模園の実態を踏まえた加配加算の見直し
【図3】 平成27年1月22日(第21回)子ども・子育て会議資料より抜粋

制度施行後の動向について

公定価格について、平成27年度分は質改善後の価格が適用されることになり、一旦は整理がされた形となります。
しかし、前回までの記事で掲載したとおり、消費税が10%になったとしても、新制度に必要な予算が安定的に確保されることはないため、今後も毎年の予算編成の中で、公定価格に関する議論が続いていくことが予想されます。
また、前々回の記事で掲載したように、国が全国統一電子システムを構築することにより、一部の市町村では保育所等からの請求を電子システムで受け付けるといった事例も出てきています。
今後、このような動きが各市町村に波及すると子ども・子育て新制度に関する情報の電子化が進んでいく可能性もあります。

そして、子ども・子育て新制度の大きな目的である

  • 質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供
  • 保育の量的拡大・確保
  • 地域の子ども・子育て支援の充実

この3点に関しては、制度施行後に評価されることになるため、その評価結果次第では制度内容の見直しに関する議論が実施されるかもしれません。

このように子ども・子育て新制度を取り巻く環境は、制度施行後も流動的になる可能性があります。

当連載は子ども・子育て新制度の施行にあたっての情報提供という位置づけで始まりましたが、本号が発刊される頃には子ども・子育て新制度も施行されていることから、今回を持って一つの区切りとして連載を終了します。
子ども・子育て新制度は施行されましたが、新しく設計された制度が現場レベルの運用に合う形になるまでは、まだしばらく時間がかかるかもしれません。そのような中で制度内容に合わせた園運営をしていくためには、制度内容の把握も重要な要素と考えられます。
その意味において、当連載が少しでも皆様のお役に立てたのであれば幸いです。

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