保育園運営のヒント

子ども・子育て新制度について
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2015.01.15

子ども・子育て新制度について第5回 私立幼稚園・認定こども園の動き

前回では、新制度における量的拡充と質の改善に関する、国の予算配分などについてご紹介をしました。
今回は、制度施行も迫っている状況を踏まえ、制度の詳細内容についてご紹介をする予定でしたが、消費税10%化の先送りなどの影響もあり、国の検討があまり進んでいない状態となっています。
そのため、これまでご紹介できていないプラスアルファの内容、及び消費税10%化の先送りによって想定される今後の影響などをご紹介します。

私立幼稚園の新制度移行への意向調査結果

【図1】調査結果:新制度への移行について
【図1】 平成26年9月17日(第18回)子ども・子育て会議資料より抜粋

前々回にて、私立幼稚園は制度開始に向けて、新制度への移行有無の意思表示をする必要があることをご紹介しましたが、移行有無の意向調査結果が公表されました。

図1は、国が私立幼稚園に対して実施した、新制度への移行に関する意向調査結果となります。
結果としては、回答を行った6805園のうち、確実に新制度へ移行する意思を示している幼稚園は、約10%程度という結果になっています。
また、新制度に移行する方向で検討をしている園数を足しても約20%となっています。
全国の私立幼稚園数が約8200園であることから、この調査結果は、全国の約80%の私立幼稚園の意向を反映した結果と言えます。
ただし、国としては、子ども・子育て新制度を施行する上で、私立幼稚園が可能な限り新制度へ移行することを今後も促していくことが想定されるため、今回の調査結果を受けて、更なる検討を行う可能性があります。

認定こども園の動きについて

5月末の公定価格仮単価提示以降、全国の認定こども園より、新制度に対する疑問、公定価格への不安などから、認定こども園を返上する、または新制度への移行を見送る、といった意見が国に対してあげられています。
国はこれらの意見を受けて認定こども園の収入が新制度に移行した場合、減少する要因として考えられる事項を整理しています。

  • 現行の幼保連携型認定こども園の施設長の人件費が一人分に減額となる
  • 現行の私学助成の水準や配分方法が、都道府県により大きく異なる中で、国が新制度により統一的に保障しようとする全国的水準には一定の限界があること
  • 質改善後の単価の場合は現行収入を上回るが、質改善前の単価の場合は下がる

これらの要因に対して、国は左記の対策を検討しています。

  • 現行の幼保連携型認定こども園を運営している施設が新制度に基づく幼保連携型認定こども園に移行する場合の施設長の人件費に係る経過措置の検討
  • 少人数の1号定員を設定する認定こども園について、1号認定固有の加算項目に係る加算要件のあり方の検討
  • 定員規模に応じた各種加算・加配要件等のあり方の検討

この内容は平成26年10月24日に実施された、子ども・子育て会議にて提示された内容です。
ただし、この内容が提示された後に、消費税10%化の先延ばしが決定したため、財源の確保や認定こども園に対する加算等の見直しについては、今後も動きが流動的になることが想定されます。

市町村事業計画の策定状況について

子ども・子育て新制度において、市町村は「量の見込み」とその「確保見込み」を事業計画として明示することが義務付けられています。そのため、制度施行に向けて、各市町村は「量の見込み」を算出し、その見込みと現在の供給が不足している場合の「確保見込み」の検討を行っています。

【図2】全国の市町村における「量の見込み」と「確保見込み」(潜在ニーズを含む)
【図2】 平成26年11月28日(第20回)子ども・子育て会議資料より抜粋

図2は潜在ニーズも含めた住民の利用ニーズを把握した上で算出した量の見込みと、それに対応する提供体制を計画的に整備する確保見込み、それぞれを全国の市町村が策定した事業計画から概算値を集計した結果となっています。
図2を見ると2号認定・3号認定では、量の見込みに対して確保見込みが不足している状態です。これは各市町村が潜在ニーズも含めた利用ニーズを見込んで算出した結果と言えるかもしれません。
現時点の結果では、量の見込みに対して確保見込みが不足していることから、今後も各市町村は量の見込みと確保見込みが均等になるような施策を検討、実施していくことが想定されます。

消費税10%化延期に伴う影響について

前回でもお伝えしたとおり、子ども・子育て新制度は制度施行に伴い追加で必要となる財源を、消費税増税分より拠出する前提で制度設計がされています。そのため、消費税10%化が延期されることは、子ども・子育て新制度の財源が十分に確保されないことを意味します。
当初、消費税が平成27年10月に10%となる予定であったため、子ども・子育て新制度に必要な財源は、平成28年度に一部、平成29年度には満額確保される予定でした。しかし、消費税が10%になるのが、平成29年度からとなる見通しであるため、平成30年度までは必要な財源が十分に確保されません。
そのため、平成30年度までは、毎年の予算編成の中で必要な予算の確保を行う形になるため、財政状況次第で確保できる予算が毎年変わることもありえます。予算が毎年変動するということは、実施される施策も毎年見直される可能性があるため、当面は国の動向次第で現場が左右されてしまう可能性もあります。
また、今回でもご紹介したとおり、幼稚園の新制度移行や認定こども園に対する加算等の見直しなど、子ども・子育て新制度は施行に向けての動きだけでなく、施行後も暫くは制度内容が流動的になる可能性が高いです。
そのため、制度施行後も国の動向次第では、園運営に余分な時間が取られてしまう可能性もあるため、保育現場としては、園運営の仕組みをより効率化する手段を講じることが重要になるかもしれません。

次回は子ども・子育て新制度が施行される時期になるため、当連載も一つの節目を迎える時期となります。
当初は当連載の総括的な内容をご提供したいと考えていましたが、制度動向がまだ流動的であるため、可能な限り最新の制度動向をご紹介したいと考えています。