保育園運営のヒント

子ども・子育て新制度について
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2014.10.15

子ども・子育て新制度について第4回 公定価格の詳細と管理システム

前回では、公定価格の概要と、私立幼稚園の新制度移行に関する内容をご紹介しました。
今回は、公定価格に関連する量的拡充と質の改善の詳細内容、また、制度施行後の事務運用に影響が出る可能性がある点として、新制度施行に合わせた国や地方自治体の制度管理システム構築に関する内容をご紹介をします。

新制度における量的拡充と質の改善

前回でも触れましたが、子ども・子育て新制度では、消費税を財源として、量的拡充と質の改善を行う予定となっています。消費税増税に伴う予算確保が可能となるのは、平成29年度からとなることから、公定価格も平成27年度、平成28年度、平成29年度で異なってくる可能性があることは前回でご紹介しました。
一方、国の最終試算では、量的拡充と質の改善を図るために必要な予算が約1兆円となっており、消費税増税分から子ども・子育て新制度にあてられる約0.7兆円の予算では足りない状況となっています。
そのため、国は不足分の0.3兆円を毎年の予算編成において確保するという方針を出していることから、消費税を財源とした予算確保ができたとしても、必要な予算が安定的に確保できない可能性もあります。

量的拡充と質の改善に関する予算の内訳

【図1】1兆円の予算内訳 【図2】量的拡充の予算配分内訳

子ども・子育て新制度で必要とされる約1兆円の予算は内訳が示されており、量的拡充と質の改善、それぞれにあてられる予算は図1のような形となっています。
図1を見ていただくとわかりますが、量的拡充については消費税増税分により満額必要予算の確保ができる見込みとなっており、質の改善については約0.3兆円不足している状態です。

次に量的拡充、質の改善それぞれの予算配分の明細をご紹介します。
図2は量的拡充の内訳となりますが、量的拡充は保育関係に対して大きく予算配分がされていることがわかります。このことから、国としても保育関係施設の拡充に力を入れようとしていることが推測できます。

【図3】質の改善の予算配分内訳(抜粋)
【図3】質の改善の予算配分内訳(抜粋)

図3は質の改善の内訳となります。
質の改善は前述した通り、消費税増税分のみでは0.3兆円予算が足りていない状態となっているため、消費税増税分のみで対応する内容と、追加で0.3兆円確保した場合に対応する内容を分けて整理されています。
図3では、H29年度と記載してある欄の金額が消費税増税分があてられる内容となっており、目標と記載してある欄の金額は、不足分の0.3兆円が満額確保できた際の内容となっています。
なお、目標欄が空白になっている内容は、消費税増税分で確保される予算で必要経費が満額賄えるものです。
このように、質の改善の内容によって差はありますが、不足分の予算確保有無によって、実施される内容に大きく差が出てくる可能性があります。

国や地方自治体の制度管理システムについて

国は子ども・子育て新制度の施行に合わせて制度管理をするための電子システムを構築することを予定しています。また、地方自治体においても国が構築するシステムに対して電子データで情報を渡す予定です。そのため、国によるシステム構築の影響を受けて、地方自治体においても制度管理システム構築の流れが加速化する可能性もあります。

子ども・子育て支援制度に係る電子システム概要
【図4】 平成25年2月25日開催 子ども・子育て新制度説明会資料より抜粋

図4は国が示している電子化の考え方に関する資料の抜粋となりますが、国が構築するシステムに対して、地方自治体が支給認定の情報や事業者の情報、給付費の審査・支払情報を渡すような形のものとなっています。
平成12年度より施行された介護保険制度などは、施行当初から国が制度管理システムを構築し、サービス提供事業者も電子データによる請求を行うことが前提となっていました。子ども・子育て新制度においても、国や地方自治体が制度管理システムを構築するということは、新制度における各種情報を電子データで管理する形になることが想定されます。
その場合、保育所や幼稚園等が地方自治体に提示する情報についても、電子データによる提示を求められることが、今後、多くなることが予想されます。

今回は、量的拡充と質の改善、および国や地方自治体のシステム化の動きについてご紹介をしました。
量的拡充と質の改善については、それぞれに対する予算配分の内訳が国より提示されています。しかし、質の改善においては、改善するための予算が不足していることから、制度施行後も国の動向を注視する必要があると思われます。
また、国や地方自治体の制度管理システム構築の動きについても、今後様々な局面で事務運用の電子システム化が進む一つのきっかけになるかもしれません。
次回では、制度施行時期も近づいてきていることから、国や地方自治体より提示されている制度運営の詳細情報についてご紹介します。