保育園運営のヒント

子ども・子育て新制度について
※Wel(ウェル):福祉系専門職のためのソーシャルコミュニティを運営しているサイト(http://www.wel.ne.jp

2014.04.15

子ども・子育て新制度について第2回 サービス認定と利用定員

前回では子ども・子育て新制度の全体概要をお話しました。
今回は、国で議論されている個々の制度内容の中から、サービス利用時に直接関係する『保育サービス利用時の認定』、そして認定内容と関連性のある『施設の利用定員』についてご紹介します。
※ 個々の制度内容は現在国が議論を行っている最中であるため、記事の内容につきましては、今後変更が発生する可能性があります。

保育サービス利用時の認定について

 保育の必要性の認定と認定区分

子ども・子育て新制度では、自治体が保護者の申請に基づき、保育の必要性の認定を行います。
そして、自治体は保護者の申請内容に応じて、1号~3号までの区分認定を行います。

1号認定 子どもが3歳児以上で学校教育のみを必要とする場合
2号認定 子どもが3歳児以上で保育を必要とする場合
3号認定 子どもが3歳児未満で保育を必要とする場合

 保育の必要性の認定基準の検討内容

自治体は保護者に対して保育の必要性の認定を行う際、これら3つの内容も勘案して認定を行います。

  1. 保育サービス利用の「事由」
  2. 保育サービス利用時間の「区分」
  3. 保育サービス利用の「優先利用」

●保育サービス利用の「事由」について

現行制度では、保護者が保育サービスを利用する際の事由として主にこの5点が定められています。

  1. 昼間労働することを常態としていること
  2. 妊娠中であるか又は出産直後間がないこと
  3. 保護者が疾病・負傷している、又は心身に障がいを有していること
  4. 同居親族を常時介護していること
  5. 震災、風水害、火災その他災害の復旧に当たっていること

これらの事由の中で一部の事由の見直しと、新たな事由の追加が検討されています。

【見直し事由】
昼間労働をすることを常態としていること。
【見直し案】
フルタイムのほか、パートタイム、夜間の就労など、基本的に全ての就労を対象とする。
これにより、両親がそれぞれフルタイムと10時~14時などのパートタイムで就労する場合でも、保育サービスが利用し易くなることが見込まれます。
【追加事由】
「求職活動及び就学等」を事由に追加する。

現行制度では、就職活動や就学は、保育サービス利用時の事由に含まれていないため、就職活動・就学中の保護者が、保育サービスの利用を希望する際の取り扱いが曖昧でした。今後は、就職活動・就学を保育サービス利用の明確な事由として定義することで、就職活動・就学中の保護者も保育サービスを利用し易くなることが見込まれます。

●保育サービス利用時間の「区分」について

子ども・子育て新制度では、パートタイム就労なども、正式な保育サービス利用の事由となることから、保護者の就労時間に合わせ、個人ごとの保育サービス利用可能時間を「標準時間」・「短時間」の区分に分けることが検討されています。
「標準時間」は主に保護者がフルタイム就労をしているケースが想定されており、現行通り11時間の利用が可能です。
「短時間」は主に保護者がパートタイム就労をしているケースが想定されており、おおむね8時間程度の利用が可能となる見込みです。
このように保護者によって利用可能時間が異なることから、延長保育の利用開始時間なども個人ごとに変わる可能性があります。

保育サービス利用時間の「区分」イメージ
保育サービス利用時間の「区分」イメージ

●保育サービスの「優先利用」について

ひとり親家庭や、虐待のおそれがある場合など、就労状況等とは関係なく、優先的に保育サービスを利用した方が良いケースに対して現在は、各自治体の個別判断で、優先度を上げて対応をしています。
しかし、今後は国の制度として、優先利用が適用されるケースを定める予定です。
このように、子ども・子育て新制度では、1号~3号の認定区分が定められるとともに、事由・利用時間区分・優先利用についても見直しがされる予定です。そして、施設側でも事由や利用時間区分等の確認が必要になることから、今後は保護者が保育サービス利用認定を受けた際、認定証が交付され、認定証にこれらの事由や区分等を記載することも検討されています。

施設の利用定員について

 施設が満たすべき運営基準

子ども・子育て新制度において、施設は、以下の内容を満たすことが求められます。

  • 学校教育法、児童福祉法等に基づく認可基準等
  • 子ども・子育て支援法に基づく運営基準

この中で運営基準については、国が定める基準を踏まえて自治体が条例として策定を行うことから、子ども・子育て会議にて、国が定める基準について、議論が行われています。
最終的に自治体の条例に準じることから、運営基準は、自治体ごとに異なるものとなりますが、以下の事項については、国が「従うべき基準」として示す内容に規定されています。

  • 利用定員に関すること
  • 子どもの適切な処遇の確保及び秘密の保持並びに子どもの健全な発達に密接に関連すること

この中で、「利用定員に関すること」については、複数の検討事項があることから、子ども・子育て会議にて、細かな議論が行われています。

 利用定員に関する考え方の概要

子ども・子育て新制度では、施設の類型、および1号~3号の認定区分ごとに、利用定員を定める方向で検討が進んでいます。
また、新制度施行の際に存在する既存の施設についても、認定区分に応じた利用定員を定める必要があります。

 現在、国が示している利用定員の設定に関する考え方は下記表の通りです。

各施設・事業において設定可能な利用定員と認定区分との関係
資料:「子ども・子育て会議(第10 回)、子ども・子育て会議基準検討部会(第11 回)合同会議」資料3 確認制度についてより転載

この内容を踏まえつつ、更にこれらの点が主な論点として挙げられています。

  1. 施設における利用定員の最低数との関係
  2. 子どもの年齢区分との関係
  3. 保育標準時間・保育短時間区分との関係

1. 施設における利用定員の最低数との関係

現行制度では、利用定員の最低数は、施設の類型ごとに異なっています。
保育関係は小規模施設を除き、最低定員が20人以上となっており、幼稚園は最低定員の規定はありません。
また、認定こども園は幼稚園・保育所の認可基準に準じていますが、特例として全体定員が60人以上であれば、保育所部分の定員は10人以上で良い、という規定になっています。
これらの現状を踏まえた上で、保育所と認定こども園の最低定員は20人以上とし、幼稚園は現行通り最低利用定員を設けない方向で議論が行われています。
また、小規模保育事業、家庭的保育事業等においては、この規定は適用されないため、現行基準と同等になると想定されます。

2. 子どもの年齢区分との関係

現行制度では、幼稚園は学年制、保育所は年齢別のクラス編成、または複数年齢の子どもを合同で保育している場合など、施設によって対応が異なっています。
一方、子ども・子育て新制度では、1号~3号の認定区分が設定されることから、認定区分と年齢ごとの利用定員に関する考え方の議論が行われています。

現在の方針は、国としての規定は左記の分類に留め、地域の実情等に応じて、更に細分化することも可能としています。

  • 1号認定……1号認定として一つの定員区
  • 2号認定……2号認定として一つの定員区分を設定
  • 3号認定……3号認定の中で、0歳児と1~2歳児で定員区分をそれぞれ設定

3. 保育標準時間・保育短時間区分との関係

子ども・子育て新制度では、2号・3号認定の際、1日11時間の利用が可能な保育標準時間認定と、1日8時間の利用が可能な保育短時間認定を行うことから、標準時間認定と短時間認定の区分に応じた、利用定員設定有無に関して議論が行われています。
標準時間・短時間の区分は、保護者の就労状況次第で年度途中にも変動が生じることから、区分ごとの利用定員は設けない方向で検討が進んでいます。
ただし、地域の実情に応じた自治体判断、又は事業者の申請により区分ごとの利用定員を設けることも可能となる見込みです。

今回は、保護者と施設、双方に関係のある見直し部分をご紹介しました。
一方、国では現在も議論が実施されており、特に大きな争点である公定価格については、平成26年の4月~6月頃に骨格が示される見通しとなっています。
公定価格の内容は施設運営や制度推進にとって、大きな比重を占めるものであることから、次回は公定価格の骨格を中心に、制度内容をご紹介します。