保育園運営のヒント

子ども・子育て新制度について
※Wel(ウェル):福祉系専門職のためのソーシャルコミュニティを運営しているサイト(http://www.wel.ne.jp

2014.01.15

子ども・子育て新制度について第1回 概要

なぜ、子育て制度の見直しをするのか

人口ピラミッドの変化
資料:「第1回 子どもと家族を応援する日本 重点戦略検討会議 基本戦略分科会」資料より転載

日本は世界で最も少子高齢化が進んでいる国の一つと言われており、約40年後には人口は9000万人を下回り、65歳以上の比率が40%を超えるという予測がされています。
そのため、将来的に少数の若い世代が、多数の高齢者を支える社会構造になる可能性が非常に高い状態です。
この図は2005年・2030年・2055年の人口ピラミッドですが、このように2030年の時点で、既に若年層の比率が極端に下がっていることがわかります。
このような少子高齢化現象の理由の一つとして、出生率の低下が挙げられています。
出生率の低下には様々な要因がありますが、その一つとして、核家族化や女性の社会進出など、日本の家庭環境を取り巻く状況の変化があると言われています。
そのため、国は子育て支援制度を現在の家庭環境を踏まえた制度に見直すことで、「子どもを育てやすい社会の創設」を行い、中・長期的には少子高齢化社会の是正を目指しています。

子育て制度の見直しはこれまでどのように検討されてきたのか

国は、平成15年に少子化対策基本法を制定し、本格的な少子化対策の検討を開始しました。少子化対策基本法制定から現在までの流れを簡単に年表形式にすると次のような表になります。

少子化対策基本法制定から現在までの流れ(年表)

この年表で表しているように、国は有識者による検討会等で議論を行った内容を基に、少子化対策大綱や子ども・子育てビジョンといった新しい制度の骨格となるものを作成した上で、子ども・子育て新制度の仕組みを組み立ててきました。

子ども・子育て新制度のポイントは何か

現在、国が新制度の開始に向けて詳細な制度設計を行っている段階ですが、新制度が目指す姿のポイントはこの3点になります。

  • 質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供
  • 保育の量的拡大・確保
  • 地域の子ども・子育て支援の充実

 「質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供」に向けて

幼児教育と保育を一体的に提供する「認定こども園」制度の改善を目指しています。
認定こども園は3歳以上児に幼児教育を提供する幼稚園機能と0歳児から未就学児に保育を提供する保育所機能を併せ持つ施設ですが、幼稚園や保育所と比較すると施設数が極端に少なく、数が伸び悩んでいます。その主な原因は管轄省庁の二重行政化であると言われています。
認定こども園の幼稚園機能は文部科学省管轄、保育所機能は厚生労働省管轄となっていることから、認可や補助金申請の事務手続きが二重に発生してしまい、認定こども園を開設・運営する際の事務負荷が高くなってしまっています。
認定こども園は幼稚園機能と保育所機能を併せ持つ施設であることから、利用者の多様なニーズに対応する受け皿となることが見込まれるため、国は二重行政化の改善を図り、認定こども園の拡充を目指しています。

 「保育の量的拡大・確保」について

昨今、子育て環境の大きな問題として待機児童問題が取り上げられていますが、その大きな要因として、都市部における保育施設そのものの量的な不足が挙げられています。それに対し、国は4000億円の費用を投じて保育の量的拡大を図ろうとしており、平成24年度現在から平成29年度末までの具体的な数値目標も掲げています。

【国が掲げる数値目標】

  • 認定こども園・幼稚園・保育所の数値目標
    保育利用児童数を225万人から265万人へ増加
    ※特に待機児童数が多い3歳未満児は86万人から123万人へ増加
  • 放課後児童クラブの数値目標
    85万人から129万人へ増加

 「地域の子ども・子育て支援の充実」について

 地域における子育て支援に関するさまざまなニーズに応えることができるよう、「放課後児童クラブ(子どもルーム)」、「一時預かり」、「延長保育」、「地域子育て支援拠点事業」、「妊婦健診」などの事業の拡充を図ることを目指しています。
共働き家庭の増加など、利用者のライフスタイルが時代と共に変化していることから、多様なライフスタイルに柔軟な対応ができるように市町村が実施する各種事業の拡充を行い、地域特性や利用者のライフスタイルに応じた子育てのしやすい環境構築を目指しています。

子ども・子育て新制度が施行されると何が変わるのか

前述した3つのポイントが中心となり、様々な制度の見直しが実施されます。
その中でいくつか具体的な例を挙げると、

  • 保育施設などの認可基準の見直し
  • 子育てサービスを保護者が利用する際の手続き・基準の見直し
  • 施設型給付・地域型保育給付の創設
  • 公定価格の見直し

などが挙げられます。

また、今回の子ども・子育て新制度では、制度開始に向けて国が主導して全国的な制度管理システムを、構築している点も特徴的と言えます。
この制度管理システムは、主に国が全国的な子育てサービスの利用状況や子育てサービスにかかる費用の推移を分析し、市町村・都道府県・国の間で情報を共有するためのものです。
既に介護保険制度などでは、国が全国的な制度管理システムを構築しており、制度運営だけでなく、円滑な制度見直しに必要となる統計分析などにも活用されています。

ただし、現在、詳細な内容を国が検討をしている段階であることから、最終的な内容については、今後の議論を待つ必要があります。

新制度開始に向けた今後の予定

平成25年4月から、内閣府が有識者を集めた「子ども・子育て会議」、「子ども・子育て会議基準検討部会」という二つの検討会を、おおむね毎月1回開催しており、制度の詳細内容を検討しています。なお、子ども・子育て新制度の検討は、厚生労働省と文部科学省に所管が跨る内容を検討していることから、内閣府が取りまとめを行っています。
予定では平成25年度中に、「子ども・子育て会議」、「子ども・子育て会議基準検討部会」で必要事項の検討を行い、平成26年年度から、各都道府県・市町村にて、順次具体的な条例などを作成する予定です。
ただし、公定価格など国の予算に関連する内容や、検討に時間を要する内容は、引き続き平成26年度も内閣府を中心に検討をしていきます。

子ども・子育て新制度は、国・都道府県・市町村といった地方自治体、幼稚園・保育所・認定こども園といった事業実施者、そして保護者も含めた大きな制度改正となります。
今回は、全体の概要的な内容をご紹介しましたが、次号からは、個々の制度改正内容をピックアップして、詳細な検討内容をご紹介していきます。